奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その13

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その12」の続きです。

前回はトップのボディー内の補強をしました。今回はトップの繋ぎ目にできた隙間の修復です。トップ繋ぎ目の隙間を接着剤だけで埋めてあったので、その接着剤を隙間から取り除き、トップ上にも付着していた接着剤も取り除きました。繋ぎ目の隙間には新しいスプルースのストリップを埋め込みます。

3752.jpg
おそらくエポキシ系と思われる接着剤を繋ぎ目の隙間から取り除きました。

3753.jpg
ニードルファイル(細い鉄ヤスリ)等を使い、隙間の幅がなるべく同じになるように削ります。

3754.jpg
隙間に埋め込むスプルースのストリップです。ストリップの断面は、下部が細く、上部が太くなっています。なるべく隙間が出来ないように埋め込むためです。

3755.jpg
スプルースのストリップを隙間に埋め込みました。

3756.jpg
なるべく隙間が出来ないように埋め込んであります。

3757.jpg
上にはみ出たストリップを削って、トップの表面と同じ高さにしました。

3758.jpg
鉄ヤスリを使ってストリップを周りの高さより若干低めに削ります。これは上に塗装を載せるからです。

3759.jpg
こんな感じで隙間が無いように埋まりました。

3760.jpg
隙間がある部分には更にストリップを埋め込みます。

3761.jpg
ストリップにラッカーを塗る前に色付けをします。色は Amber を使うのですが、周りの経年変化により色が濃くなったスプルースと合わせるのは難しいです。Amber の塗料を薄める度合いをいろいろと変えながら塗りました。

3762.jpg
一応 Amber を塗ったのですが、これにラッカーを塗ると色は少し濃くなるので、何回も塗り直しをしました。

3763.jpg
まだ小さい隙間があったのでストリップを埋め込みます。

3764.jpg
こんな感じで埋まりました。

3765.jpg
まだ小さい隙間があります。

3766.jpg
隙間を埋め、色を塗った後、そこにラッカーを塗ります。周りの表面の高さと同じにするたね、数回に分けて塗ります。この修復にスプレー塗装は行いません。1953年製のビンテージ物なので、ビンテージ感を出すために手塗りです。スプレー塗装をしてしまうと、そこだけがピカピカの塗装になってしまいます。

3767.jpg
塗装を3週間ほど乾燥させ、塗ったラッカーをスクレイプ(削り)、サンディング、バフ掛けをして終了させました。もちろん完璧にするのは殆ど不可能ですが、下の写真の修復前よりはかなり良くなったと思います。

3768.jpg

と言うことで、次回をお楽しみに!

続く。




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  1. 2017/10/24(火) 12:19:47|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その12

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その11」の続きです。

前回は新しい平らなブリッジプレートを接着し、トップの膨らみを少し沈ませることが出来ました。トップの膨らみにより、ボディー中央のジョイント部分に隙間が出来ていたのですが、ボディーの両端からクランプで締めても、隙間が狭まることはありませんでした。トップの膨らみを沈めても同じです。そこで隙間に入っていたエポキシ系と思われる接着剤を取り除き、その隙間に新しい木(スプルース)を埋め込みます。しかしその前に、隙間がこれ以上大きくならないように、トップの裏から補強します。

3746.jpg
隙間から接着剤を取り除いた後、その隙間に 0.4 ミリの穴を開けます。隙間に穴とは変に聞こえるかもしれませんが、隙間の底の方にはまだ固い接着剤が残っています。穴に細い弦を通し、ボディー内から外に向けてクリート(補強材)を引っ張り上げて接着します。細い弦は細ければ細いほど良く、1 弦の .008 インチ(約 0.2 ミリ)が理想ですね。と言うのは、引っ張り上げる作業で、どうしても穴の大きさが大きくなってしまうからです。

3747.jpg
手製の治具を使って弦を巻き上げ、クリート(補強材)を定位置に接着します。

3748.jpg
引っ張り上げる弦はクリートを押さえつけるブロックの穴に通し、弦の先端には結び目をつけてハンダで丸いボールを作ります。ボールは穴より大きいので、ブロックとクリートを引っ張り上げることが出来ます。

3749.jpg
数カ所にクリート(補強材)を接着します。

3750.jpg
クリートを接着中。

3751.jpg
こんな感じでクリートを補強として接着します。

ボディー内の補強が終了したので、次はトップの繋ぎ目の修復です。では次回をお楽しみに。

続く。



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  1. 2017/10/17(火) 16:39:19|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その11

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その10」の続きです。

前回は破損したネックヒールの修復完了でした。今回はボディーに移ってトップの膨らみの修復です。膨らみはかなり大きく、これも非常に高い弦高の原因となっていました(ネックの元起きも原因の一つ)。以前の記事でも説明したように、膨らみの矯正をするため、まずブリッジの真下にあるボディー内のブリッジプレートを剥がしました。剥がした古いブリッジプレートはかなり湾曲していました。膨らみを少しでも軽減させるため、平らな新しいブリッジプレートを接着します。膨らみが大きく減少することはあまり望めません。これはボディー全体が大きい膨らみの状態に固定されてしまっているからです。しかし、平らなブリッジプレートに取り替えることにより、数ミリでも膨らみが沈んでくれたら幸いだと思います。

3734.jpg
ボディー内のブリッジプレートは簡単に剥がれました。ボディーの膨らみと共に接着面に大きな隙間ができていました。ブリッジプレートは簡単に剥がれない場合もあり、その際は手探りでノミの先端を持って削らなければなりません。以前そんなブリッジプレートを剥がした(削り取った)ことがあり、かなりの時間を費やしました。補強として(?!)貼ってあったマスキングテープの跡が残っており、後ほどきれいに剥がします。

3735.jpg
まずオリジナルと同じ大きさのブリッジプレートを作りましたが、膨らみを沈めることを考慮すると、もっと大きいブリッジプレートが必要だと考えてました。よってこの新しいブリッジプレートはボツにします。

3736.jpg
新しい大きなブリッジプレートを作りました。膨らみを沈めるためにはこれぐらいの大きさが妥当だと考えました。この大きさは普通にある大きさです。個人的には、オリジナルのブリッジプレートは小さ過ぎると思います。小さい方が音には良いのではと考える人もいるかもしれませんが、音の良し悪しは他のブレイスを含めた全体のバランスであり、膨らみを沈めるにはこの大きさが妥当だと考えました。

3737.jpg
ブリッジプレートの接着面に二つのブルータックを付け、正確な位置に接着できるように仮の取り付けをします。

3738.jpg
ブリッジプレートよりやや小さめのブロックを MDF で作りました。接着で使います。

3739.jpg
接着用ブロックの MDF はご覧のようにやや小さめです。

3740.jpg
ご覧のように、トップの膨らみは半径 12 フィートのアールになっています。これはバックの膨らみと同じで、かなり膨らんでいますね。理想のトップの膨らみは半径 25〜30 フィートのアールと考えています。その膨らみにするのは殆ど不可能に近いですが、少しでも膨らみを沈めたいと思います。

3741.jpg
平らな MDF をトップの上に置き、両端をクランプで締めます。クランプを締めるとトップは真っ平らになります。

3742.jpg
トップが真っ平らになった状態で新しい平らのブリッジプレートを接着します。

3743.jpg
新しいブリッジプレートが正確な位置に接着出来ました。

3744.jpg
補強(?!)として貼ってあったマスキングテープの跡が残っているので、これも取り除いてなるべくきれいにします。ボディー内なのでちょっと面倒ですが…。

3745.jpg
マスキングテープの跡はかなり除去出来ました。濃くなっているのは濡れているからであり、乾燥すれば普通の色に戻ります。

以前にもお話したように、iPad 紛失でかなりの数の写真も同時に紛失してしまいました。膨らみがどれくらい沈んだかを確認する写真も含まれていました。通常の膨らみに戻すことは出来ませんでしたが、3ミリ程沈ませることが出来ました。この膨らみに合わせてネック角調整をすることにします。それでは次回をお楽しみに。

続く。



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  1. 2017/10/09(月) 22:48:51|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その10

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その9」の続きです。

前回は破損したダブテイルの再生及び補強を行いました。しかしそれだけでは十分ではないので、ダボを入れて更に強化させます。亀裂から外れてしまった部分に2本のダボ、新しく付け足したダブテイル部分に2本のダボを入れます。

3725.jpg
ドリルプレスにダボを入れ、ドリルで開けた穴と同じ大きさに削ります。

3726.jpg
ダボの加工が終わりました。

3727.jpg
ネックヒールの底に開けた穴に2本のダボを入れて接着します。ダボは割れた部分の繋ぎ、補強になります。

3728.jpg
はみ出した部分を切り取りました。

3729.jpg
次は付け足して再生させたダブテイルとネックヒールを繋ぎます。ここにも2つの穴を開けて2本のダボを入れて接着します。

3730.jpg
ダボを入れました。

3731.jpg
はみ出た部分を切り取って完成です。

3732.jpg
これでダブテイルの補強、再生は終了です。

3733.jpg
亀裂の部分にはラッカーを塗ってしばらく乾燥させます。完全に乾燥したら、盛り上がったラッカーをスクレイプし、サンディングした後にバフ掛けをします。残念なことにラッカーを塗った写真は紛失しました。

ネックヒールの修復は終了したので、次回は次の修復に取り掛かります。それでは次回もお楽しみに!

続く。



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  1. 2017/09/22(金) 18:12:07|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その9

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その8」の続きです。

前回は破損していたネックヒール後部を再接着し、破損部分の繋ぎと補強として、ダボを入れる2つの穴をネックヒールの底に開けるところまでででした。2本のダボを入れるのは後回しにし、次は削り取ってしまったダブテイルの再生を行います。

それぞれの工程の説明を各写真の下にキャプションとして書きますね。

3710.jpg
削り取ってしまった部分の接着面を平らにします。一面を斜めに削っていますが、これは弦の張力でネックが前方に倒れる力が掛かった場合、接着面に掛かる力をなるべく軽減させるためです。

3711.jpg
削り取った部分の新しいピースを作りました。二面の接着面がピッタリと隙間が無いように加工します。

3712.jpg
二面の接着面がピタッと合うようにクランプで締めて接着します。

3713.jpg
接着完了です。

3714.jpg
まず接着した新しいピースをダブテイルの形に加工します。

3715.jpg
その後、繋ぎ目を強化させるため、二つのマホガニーのピースを接着します。削り取る部分に鉛筆でマークを付けました。

3716.jpg
削りが終了しました。

3717.jpg
両側とも削ります。

3718.jpg
ここでも接着面に隙間が無いように平らに削ります。

3719.jpg
二つのマホガニーのピースを接着します。

3720.jpg
接着が終了しました。

3721.jpg
再びダブテイルの形に削ります。

3722.jpg
削りが終了しました。

3723.jpg
元のダブテイルの形を再生しました。

3724.jpg
繋ぎ目がかなり強化されました。

ということで、ダブテイルは再生されましたが、まだこれで終了ではありません。繋ぎ目を更に強化させるため、もっと補強をします。それでは次回をお楽しみ!

続く。



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  1. 2017/09/18(月) 14:19:05|
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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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