奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

ロゼットの嵌め込みは慎重に

ギター製作の難しい工程の中にロゼット製作があります。トップ材に溝を掘り(彫り)、そこにロゼットをはみ込むのですが、トップ材は柔らかいスプルース(シーダーやレッドウッドも使用する)を使用するため、まず綺麗なラインの溝切りをするのに神経を使います。スプルースの木目には柔らかい部分と硬い部分あり、慎重に溝切りをしないとラインが崩れてしまいます。

下の写真は溝堀が終わったところですが、穴が2つあるのは、最初に開けた穴が若干横にずれてしまったため、新しく穴を開け直しました。今でも失敗は付き物です(笑)。

3198.jpg

以前にもこのブログに書いたことがあるのですが、私はロゼットを溝に嵌め込む前に、一つのピースとして完成させてから嵌め込みます。バインディングやパーフリングのラインが重なったトラディショナル・スタイルのロゼットの場合、ロゼットのリングの内輪と外輪を溝に嵌めてから真ん中のアバロニ(アワビ貝)のストリップを嵌め込むやり方をよく見かけます。しかし私の場合、いろいろと試してみた結果、クラシックギターのロゼットのように、一つのピースとして完成させてから嵌め込んだ方が自分にはやりやすいと判断しました。これは元ギター製作家、David Russell Young 氏の著書、「The Steel String Guitar: Construction & Repair」からもヒントを得ています。

ちょっと余談になりますが、なぜ元ギター製作家かというと、Young 氏は木粉による気管への悪影響のため、ギター製作の仕事を辞められました。今では現存する Young 氏製作のギターにはプレミアが付き、同様の理由でギター製作を辞められた Mark Whitebook 氏のギターと並んで、幻の名器と言われています。このことについては、5年前に、「幻のビルダー David Russell Young 氏とMark Whitebook 氏」という記事に書いています。

3199.jpg

ロゼットを一つのピースとして嵌め込む時に気をつけなければならないことは、溝に隙間が出来ないようにギチギチに嵌め込むことです。溝の幅が大きいと、ロゼットは簡単に嵌りますが、スプルースとロゼットの間に隙間が出来、肉眼でも乱れたラインが目立ったりします。なかなか嵌らないロゼットを無理矢理押し込むと、柔らかいスプルースを潰してしまい、修復が難しくなってしまいます。

隙間がないように嵌め込むためには、下の写真のようにロゼットの端を斜めに削ります。外輪のパーフリングの一つの色が厚い場合はそんなに問題ではないのですが、それが薄い場合は、その色が無くなってしまわないように気をつけなければなりません。

3200.jpg

下の写真はやっと2つのリングが嵌ったところです。まだ接着はしていません。アバロニ(アワビ貝)の入ったリングは、トップ材の表面と殆ど同じ高さになるように嵌め込みます。なぜかと言えば、もしロゼットの方が高くなってしまうと、表面を削って平らにする時、アバロニの模様が変わってしまうからです。折角入念に選択した模様でも、削る量が多くなってしまうと、模様がかなり変わってしまいます。

外側のリングのパーフリングは黒白黒白黒で、これは2本の黒白黒のパーフリングを前もって重ねて接着し、一つのピースとして嵌め込みます。このパーフリングは多く削っても模様は変わらないので、溝の深さよりも高さがあっても大丈夫です。ただ溝に嵌め込むには神経を使います。まず細い溝をパーフリングの幅よりも若干狭く彫るのも大変ですし、パーフリングの端は細い黒色のラインなので、これが無くならないように端を削らないといけません。

3201.jpg

まず内側のリングを嵌め込みました。トップ材の表面よりも若干高いのが理想です。

3202.jpg

外側の細いリングをハンマーで軽く叩きながら嵌め込みます。

3203.jpg

接着が終わって乾燥したら、Thickness Sander でトップ材の表面を削ります。この作業をする時は、いつも綺麗に出来上がりますようにと祈ります。

3204.jpg

あ〜良かった。綺麗に出来上がりました。

3205.jpg

トップ材とロゼットの境目のラインも綺麗なラインを描いています。

3206.jpg

ロゼットの製作工程はいつも緊張する作業です。この作業が終わるたびに、一つの山を越したという気分になります(笑)。他のギターを見る時も、このロゼットの出来具合はいつもチェックしますね(笑)。さあ、次の工程に進みます。



*********************************************

ブログランキングに参加しています。よかったら下のアイコンをクリックしてランキングを覗いてみて下さい。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

************************************************



スポンサーサイト
  1. 2015/08/26(水) 21:30:10|
  2. 製作工程
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

んーー、やっぱりやり直し

ギター製作をするにあたって時々遭遇すること、それは失敗、いや、失敗ではないけど、どうしても出来具合が気に入らず、それをやり直すか、それともそのままで先に進むか悩むということです。明らかな失敗ならば、もちろんやり直しをするのですが、失敗ではないけど、例えばある部分のラインがちょっとだけ太くなってしまったとか、そういうことでよく悩んだりします。別に気にしなければ誰も気づかないかもしれないし、そういうちょっと出来具合が悪い箇所って、有名メーカーのギターにも、著名なギター製作家のギターにもよく見かけます。でもこのちょっと出来具合が悪いっていうことが頭から離れず、お風呂に入っている時でも、バスに乗っている時でも考えしまいます。でも、そういう時って、ほぼ100%の確率で、気がついた時には修復作業に入っています(笑)。その出来具合の悪い箇所を見ていると、いつの間にか無意識にノミで削り始めたりしているのです。

ということで、今回はその出来具合の悪い箇所のやり直しです。

下に3つのロゼット(サウンドホール周りの装飾品)がありますが、真ん中のロゼットの左側で、アワビ貝の左側の黒いラインが気に入らないのです。この写真では分かりにくいですが、黒いラインがアワビ貝に密接に接着されておらず、その若干の隙間のせいで、黒いラインが太く見えるところが3ヶ所ぐらいあるのです。これぐらいならば、他のギターにもよく見かけられるのですが、このまま進んでしまうと、その太いラインは永遠に残ってしまう、そう考えてしまうと、自然に体が修復作業に入っています。

2801.jpg

最初はアワビ貝のストリップ(3本)を取り替えようと思ったのですが、後からアワビ貝をはめ込むとなると、なかなか両脇の黒いラインがスムーズに見えず、外側のパーフリングを削り、新しいパーフリングを接着することにしました。下の写真は、パーフリングを取り外しているところです。

2802.jpg

外側のパーフリングを取り外しました。アワビ貝のストリップは4本取り外してあります。

2803.jpg

最初はパーフリングを取り外さないで、新しいアワビ貝をはめ込もうと思っていたので、元々あったアワビ貝は割って取り外してあります。

2804.jpg

新しいアワビ貝のストリップをカットしました。

2805.jpg

アワビ貝を接着します。

2806.jpg

接着終了です。

2807.jpg

外側に新しいパーフリングを接着して修復終了です。アワビ貝の外側の黒いラインはかなりスムーズになりました。

2808.jpg

修復してしまうと、もちろん時間ロスにはなりますが、一生悩む必要はありません(笑)。失敗をしないように製作することが一番ですが、そういう完璧なことはなかなか出来ません。やはり、一つ一つの作業に気合を入れて取り組まないといけませんね。



*********************************************

ブログランキングに参加しています。よかったら下のアイコンをクリックしてランキングを覗いてみて下さい。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

************************************************



  1. 2015/01/27(火) 14:09:56|
  2. 製作工程
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

アワビ貝のストリップ作り

サウンドホールの周りに施すロゼットですが、ちょうど真ん中にアワビ貝のストリップを施します。このストリップには既製のものもあるのですが、サウンドホールの直径によってロゼットの円周が変わってくるので、貝のストリップはいつも自作しています。まだ普通の貝の状態から加工したものです。

そして今回はグリーン・アバロニ(green abalone)のハートを使います。このハートは、アワビの肉が貝にくっ付いている部分で、貝の層がラインとなって表れている部分とは違い、模様が入り組んで、とても綺麗です。

2589.jpg

通常は、ストリップの幅を1/16インチに加工していますが、今回はちょっと広くて3/32インチです。今回はどうやって幅3/32インチを切り出しているかは割愛させて頂きます。

2590.jpg

ストリップの製作でコンピュータに頼らず(もちろん、そんなもの持っていませんが)、早く正確に出来る方法は無いかと模索しておりますが、今回もいつものように時間が掛かっています(笑)。

2591.jpg

上の写真は、内側のシェイプは完成していますが、外側はまだラフなシェイプです。

2592.jpg

いろんな道具を駆使して、どうにか同じ幅になりました。まだ製作途中です。

2593.jpg

このように、私はロゼットに溝を作り、そこにストリップを埋め込む方法ではなく、始めからストリップの入ったロゼットを作ります。この方法の方が、自分にとってはやりやすいのかもしれません。では頑張ります。



************************************************

ブログランキングに参加しています。よかったら下のアイコンをクリックしてランキングを覗いてみて下さい。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

************************************************



  1. 2014/09/30(火) 13:46:04|
  2. 製作工程
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ロゼットの失敗 パーフリングは柾目で

ロゼット(サウンドホールの周りのリング)の中にマダガスカル・ローズウッドのリングを使うことになり、端材の中からちょうど良いものはないか探したところ、まっすぐの柾目の部分は他に使う予定があるので、バックの端材を使うことにしました。

2392.jpg

しかし、ちょうど良い長さは斜めにしないと取れず、細いリングだし、おそらく大丈夫だろうと勝手に決めつけて使うことにしました。しかし、このバックの端材は、どちらかというと板目に近く、おまけに斜めになっているので、もしかしたら曲げる時に捻れるかもしれないという不安は少しありました。使った箇所は上の写真の左端の斜めの部分です。

2389.jpg

2390.jpg

そしてベンディングアイロンで曲げたところ、不安は的中しました。リングは捻れ、おまけにカーブはスムーズでは無く、何ヶ所かで波を打っています。これでは使い物になりません。

2391.jpg

やはりパーフリングとして使う木は、まっすぐの柾目でないといけませんね。なるべく木材を無駄したくないという気持ちから、もしかしたら上手く行くかもしれないと思って斜めの部分を使ってしまいましたが、やはり失敗でした。木材は嘘を付きませんね。

2393.jpg

結局上の写真のまっすぐな柾目を使うことにします。これまでの作業の時間が無駄になってしまいましたが、勉強のために使った時間だと思うことにして頑張ります。



ブログランキングに参加しています。よかったら下のアイコンをクリックしてランキングを覗いてみて下さい。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

  1. 2014/07/12(土) 19:06:02|
  2. 製作工程
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

サイドを削る

ボディーのサイドというのは、手曲げでも、専用の治具を使って曲げても、完璧に表面が平らになることはありません。トップとバックはスムーズなアーチ状になるのですが、サイドは多少なりとも凸凹になってしまいます。トップとバックをモールド(型)の中に収まっているサイドに接着してボディーが出来上がった後は、そのボディーをモールドから取り出し、トップとバックのはみ出した部分を削った後は、サイドの表面を滑らかにする作業に取り掛かります。

サイドを滑らかにする理由の一つに、バインディングとパーフリングの溝削りがあります。溝を削る時、削る機械のトリマーのビットにはベアリングが付いており、サイドの表面がベアリングのガイドとなるわけです。よってサイドの表面がスムーズでないと、正確で滑らかな溝を削ることは出来ません。

サイドはサンディングで滑らかにするのですが、私は機械は使わず、手動で行っています。機械を使う場合は、固定されたベルトサンダーや、ハンドドリルにドラムサンダーを取り付けて行うのですが、私は以前、固定されたベルトサンダーを使っていて失敗したことがあるので、それからは手動で行っています。機械だと削れるのが早いですが、慎重に作業を行わないと必要以上に削れてしまいます。私にとってベルトサンダーはアウトです。ハンドドリルにドラムサンダーを取り付けてのサンディングだと危険性はそれほどありませんが、私は今のところは手動で大丈夫です。

サンディングする時は、ブロックに粗いサンドペーパー(60番か80番)を貼って行います。いきなりサンディングは始めません。まずサイドに真っ直ぐの定規等を置き、高くなっている箇所をチェックします。そしてその高い箇所をスクレイプ(削る)し、その周辺の低い箇所にある程度合わせてから全体的なサンディングを行っています。その方が、最小限の削りで表面を平らに出来ると思います。あくまでも私の意見ですが。いきなりサンディングを始めると、高い部分も削れますが、サンディングブロックが低い部分に当たっていることも多いので、同時に低い部分も削れてしまい、平らになるまでにかなり削ってしまうことになってしまいます。このことはフレットの擦り合わせでも同じです。最初に高い部分のフレットを部分的に削って全体を擦り合わせた方が、削り取る部分が少なくて済みます。

それでは写真で説明しますね。

2176.jpg
まずサイド全体に白い色鉛筆で印を付けます。こうすることにより、白いラインが消えてしまったら平らになったことが分かります。

2177.jpg
サイドに真っ直ぐな定規等を当てると、このように平らでないことが分かります。この場合は、左側に高い箇所がありことが分かります。この状態でいきなりサンディングを始めると、サンディングブロックは高いところだけではなく、同時に右側の低いところも削ることになり、全体的に平らにするには時間も掛かるし、削る量も多くなってしまいます。

2178.jpg
まず高い箇所をレーザー刃などを使ってスクレイプ(削る)します。こうやってある程度高い箇所を低い箇所と合わせてサンディングした方が、削る量を最小限に留めて平らにすることが出来ます。

2179.jpg
これがサンディングブロックです。粗め(60番か80番)のサンドペーパーを貼り付けます。これはサイドを平らにしてしまってから撮った写真なので、ご覧のように、サイドは平らになっています。

2180.jpg
このようにしてサイドをサンディングします。

2181.jpg
ボディーのウエスト部分は平らなサンディングブロッグでは削れないので、真っ直ぐなパイブにサンドペーパーを巻き付けてサンディングします。

2182.jpg
写真撮影のために左手だけでパイプを握っていますが、実際はボディーを固定させ、両手を使ってサンディングします。

2183.jpg
サンディングの途中の写真です。このように、削れた部分と削れていない部分がはっきりと分かります。

2184.jpg
サンディング終了です。このように平らになりました。

2185.jpg
サイドの端の方には、このように削れていない箇所がありますが、トップまたはバックの表面からの深さがバインディング・パーフリングの高さ(1/4インチ)以内であれば無視します。これは溝削りで無くなってしまうし、全体が平らになっているのに端っこで低い部分があるということは、この部分はモールド(型)の枠よりも内側に位置していることになるからです。

2186.jpg
終了です。この後は、120番、150番、180番といった感じで、サンディングを繰り返し、バインディングの溝削りの準備に取り掛かります。

  1. 2014/04/23(水) 07:15:47|
  2. 製作工程
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

挨拶 (17)
製作家 (20)
ギターショップ (8)
製作工程 (74)
リペアー (135)
道具・工具 (25)
機械 (5)
治具・テンプレート (16)
インレイ (25)
木材 (9)
材料 (13)
ピックアップ (10)
作業場 (1)
ミュージシャン (38)
ギター情報 (11)
ギター紹介 (24)
メディア (7)
ロンドン情報 (10)
イギリス情報 (6)
書籍 (5)
紹介 (4)
出来事 (20)
ギター雑誌 (5)
ギターショー (14)
塗装 (18)
ピックガード (2)
日本滞在 (22)
未分類 (0)
デザイン (1)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。