奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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Lowden Fan Fret の指板にカスタムインレイを施す パート2

前回の記事、「Lowden Fan Fret の指板にカスタムインレイを施す」の続きです。

何度かの失敗を繰り返し、3つの名前のピースが完成しました。オリジナルのデザインは、ヘッドのロゴに比べるとちょっと細めなのですが、結局完成したピースはちょっと太めになり、ヘッドのロゴと釣り合うことになりました。

ヘッドなどのように、表面が平らな部分にインレイをする場合は、貝のピースをその部分に軽く接着し、周りをアートナイフでキズ付けて型を取るのですが、指板の場合は表面がアール状になっているため、貝のピースの周りを正確にキズ付けることが出来ません。よってオリジナルのデザイン画を指板の表面にノリで貼り、そのデザインの形をアートナイフで切ります。デザイン画と切り出したピースは殆ど同じ形なので問題ありません。

2662.jpg

2663.jpg

紙を剥がすと下の写真のようになります。

2664.jpg

これをドレメル(Dremel)を使って彫ります。下の写真のピースは長いので、いくら裏にブラス(真鍮)板の補強をしているとはいえ、細心の注意が必要です。なかなか簡単には溝に収まってくれません。

2665.jpg

溝の中に綺麗にはまったら、瞬間接着剤と黒檀の粉を使って接着します。瞬間接着剤と書きましたが、場合によっては、エポキシ樹脂接着剤を使うこともあります。その時の状況によって使い分けています。

2666.jpg

乾燥後、サンディングとスクレイピングを繰り返して完成です。

2667.jpg

他の文字も完成しました。あっ、ドットは今から入れます。

2668.jpg

3、7、12フレットにインレイが入りました。お客さんの希望で、ファンフレットの扇形に合わせず、ヘッドのロゴに対して平行になっています。

2669.jpg

ヘッドのロゴと同じようなフォントになっているでしょうか?この3つの名前は、お客さんのデザインです。ラインをオリジナル画よりちょっと太くしたことにより、ロゴにちょっと近くなったのではないかと思います。

2670.jpg

2671.jpg

2672.jpg

2673.jpg

なかなかいいですね。デザインまで任せられたら、もうちょっと違った形になったかもしれません。

2674.jpg

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2676.jpg

後日、お客さんからメールを頂戴し、かなり気に入ってくれたようです。頑張った甲斐がありました。これからもこんなカスタムインレイをやっていきたいですね。



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  1. 2014/12/26(金) 19:57:51|
  2. インレイ
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Lowden Fan Fret の指板にカスタムインレイを施す

カスタムインレイの話です。

以前、「折れてしまった白蝶貝のインレイ」と「インレイ作業の秘密兵器」という記事で、このインレイの白蝶貝を加工する話は書いているのですが、今回は受注の最初から最後までのお話をしたいと思います。

カスタムインレイをオーダーされたお客さんは、私が毎週一回リペアーをしているギターショップ、Ivor Mairants でギターを購入されました。ギターは Lowden の Fan Fret (すみません、モデル名を忘れました)のモデルです。

2648.jpg

このギターの指板には、ポジションマークも何も無いのですが、3、7、12フレットに、自分の3人の子供の名前をインレイして欲しいというのです。

2649.jpg

3人の子供の名前は、「Layla」「Jonathan」「Linus」。

ギターのヘッドの施してある Lowden と同じフォントでお願いしますということでした。デザインはお客さんから PDF で送られてきました。そのデザインを友人に依頼し、Photoshop を使って、ヘッドのロゴと同じ大きさにしてもらいました。

2650.jpg

上の写真がそのデザインですが、ヘッドのロゴよりもラインが細いし、細いと折れやすく作業が難しくなるので、お客さんにラインを太くしなくてよいか確認しました。すると、このままのデザインでお願いしますということだったので、難しいとは思いましたが、そのままで作業することにしました。

2651.jpg

7フレットにインレイする「Jonathan」という文字が長いので、指板のアールをチェックしました。16インチだったので、問題はなさそうです。アールが大きく、貝の板が薄いと、長いインレイは難しくなります。

2652.jpg

デザインを白蝶貝に貼り、アートナイフで切ってキズを付けます。

2653.jpg

アートナイフでキズ付けたシェイプを更に深く彫ります。

2654.jpg

キズの溝に黒いパテを塗り込みます。

2655.jpg

内側の丸い部分には最初から穴を開けておきます。

2656.jpg

以前の記事にも書いたように、貝が折れるのを防止するため、貝の裏にベニアを貼ったのですが、それでは強度があまり無く、カット中やファイリング中に折れてしまいました。それで今回は、ブラス(真鍮)の板を貼りました。これならかなり強くなると思います。

2657.jpg

ブラスを貼ったことにより強度がかなり増したので、安心してカットすることが出来ました。

2658.jpg

2659.jpg

2660.jpg

実は、「Jonathan」をある失敗で再び折ってしまいました。とにかく、細いピースはカットが難しいです。

2661.jpg

カットとフォイリングが終了しました。2つのドットはまだ出来ていません。オリジナルのデザインよりも若干太く出来上がったので、ロゴともマッチするし、これでよしとします。

それでは次回は埋め込みをして完成です。次回をお楽しみに。



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  1. 2014/12/25(木) 12:10:25|
  2. インレイ
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インレイ作業の秘密兵器

私がインレイをする際、切り出した貝の側面を削るのに使っている機械があります。それが下の画像のグラインダーです。

2610.jpg

これはステンドグラス用のガラスグラインダーです。

20年以上前アメリカに住んでいた時、まだまだギター製作だけでは食べていけないので、いろんな仕事を掛け持ちでやっていました。その一つがステンドグラスの仕事です。ステンドグラスを作っていたのではなく、セメンティングといって、ガラスと鉛の間にセメントを詰め込み、最終のバフ掛けをして完成させる仕事をしていました。

そのセメンティングの仕事はどうでもよいのですが、ステンドグラスの職人達がガラスを切って余分な部分を削るのに使っていたのが、このガラスグラインダーです。

2611.jpg

ダイヤモンドの粉が塗してあるグラインダーで、下が直径16ミリ、上が直径6.7ミリのグラインダーです。これはインレイの仕事に使えると思い、それ以来ずっと使っています。直径16ミリのグラインダーは殆ど使いませんが、上の直径6.7ミリのグラインダーはいつも使ってます。

2612.jpg

貝を切る場合、なるべるラインぎりぎりで切ろうとしますが、ラインより外側に大きく切る場合もよくあります。余分な部分は鉄ヤスリで削るのですが、手動で側面を垂直に削るのはなかなか難しいものです。その時、このガラスグラインダーが大いに役立ちます。但し、全ての側面が削れるのではなく、グラインダーの直径は6.7ミリなので、細かい部分にはグラインダーが入らず、そこは鉄ヤスリを使っての手作業となります。

2613.jpg

もう20年以上使っていますが、今でも現役です。このようにして、ギター製作に関係無い機械でも使えるものはありますよね。欲を言えば、もっと直径が細いグラインダーがあれば良いのですが。これはドレメルを改造して作るしかないかもしれませんね。



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  1. 2014/10/15(水) 10:25:25|
  2. インレイ
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折れてしまった白蝶貝のインレイ

「あー、折れてしまったー!!」

特注で入ったインレイの仕事で、指板に3つの名前を入れて欲しいという依頼です。下の写真がその名前ですが、ラインがとても細いですね。

2604.jpg

材料には白蝶貝を使います。こんなに細いピースを切り出すのは難しく、最初はお客さんにもっとラインを太くしてもらおうかなと思ったのですが、私の職人魂に火がつき(大げさ 笑)、このままの細さで挑戦することにしました。

2605.jpg

デザインを白蝶貝の表面に書き写し、まず専用の細い糸ノコで切り出します。

2606.jpg

ラインが細くて折れやすいため、白蝶貝の裏に補強の薄いベニア板を貼りました。2つの文字は無事に切り出すことが出来、3つ目のピースを切っている時です。ちょっとした糸ノコの引っ掛かりがあり、その瞬間でした。

「あーー!!!」

ピースが細い部分が折れてしまいました。下の画像がそれです。

2607.jpg

2608.jpg

せっかくここまで時間を掛けて切っていたのに、このピースは最初からやり直しです。でも他の2つは無事に切り出すことが出来たので、取り敢えず、この2つのピースを鉄ヤスリで最終的なシェイプに削ることにしました。

裏には薄いベニア板を貼って補強していますが、3つ目のピースが折れたように、安心は出来ません。ところが、1つ目のピースが折れてしまいまた。そして続けて2つ目のピースも見事に折れてしまいました。全滅です。

2609.jpg

昨日はかなりショックでした。これまでの作業時間が全て水の泡です。かなりの時間ロスです。同時にお金のロスにもなります。しかし、落ち込んでいる時間はありません。最初からやり直し、もう一度挑戦します。今度は裏に貼る補強材を何か別のものに変えようと思います。

頑張れ自分。



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  1. 2014/10/09(木) 06:10:56|
  2. インレイ
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新しい試みのインレイ その8 最終章

前回の記事、「新しい試みのインレイ その7」の続きです。

シリーズで8回続いた記事ですが、今回の「その8」で最終回となります。ずっと最初から読んで頂いた方々には心より感謝しております。前回までに、インレイの埋め込み、アール加工、フレットの溝切りが終了しました。あとは2つの工程を残すのみです。1つは「o」の文字の中に入れる小さい赤い石、そしてもう1つは最後のフレットの打ち込みです。「o」の中に入れる赤い石を、なぜインレイのアール加工が終わった後にやるかというと、とても小さい石で、先に入れてしまってアール加工をすると、入れた石の形が変わってしまう可能性があるからです。

それでは写真をご覧下さい。

2576.jpg
「o」の赤い石を入れる部分を鉛筆で描きます。三角に近いシェイプですね。

2577.jpg
赤い石を入れる部分を細いドリルビットを使って手動で穴を開けます。

2578.jpg
写真はありませんが、ドリルビットで穴を開けた後は、いろんな道具を使って三角に近い形にし、赤い人工石も若干大きめに切り出しました。ピンセットで摘まんでいるのがその赤い人工石です。これからこれをもっと小さく加工します。

2579.jpg
小さい人工石は小さ過ぎて、手に持って加工することは出来ないので、爪楊枝の先端を切り、その断面部分に瞬間接着剤で接着しました。これで鉄ヤスリを使っての削りが可能になります。

2580.jpg
隙間が無い、パーフェクトに近い埋め込みにするため、人工石はテーパー(斜めに削る)させます。こうすることにより、穴に入れやすくなるし、隙間を最小限に出来ます。

2581.jpg
こんな感じで、入れたり外したりしてチェックします。

2582.jpg
ある程度の深さまではまったら、爪楊枝を取り外します。

2583.jpg
瞬間接着剤を流し込みます。

2584.jpg
瞬間接着剤が乾燥したら、レーザー刃を使ってスクレイプ(削る)します。

2585.jpg
小さい赤い人工石が綺麗にはまりました。

2586.jpg
こんな感じで出来上がりました。あとはフレットを打ち込めば完成です。

2587.jpg
フレットを打ち込みます。あと一息。

2588.jpg
完成です。大変でしたが、どうにか出来上がりました。

最初にお客さんからデザイン画を頂戴した時は、綺麗に作れるかどうか不安でしたが、無事に作品が完成してホッとしています。作るのが難しい作品でしたが、最終的には満足いく作品になりました。これをどうするか、あれをどうするかと、いろいろと試行錯誤しましたが、絶対に完成出来ると信じて挑戦した甲斐がありました。インレイは好きな作業で、これからもっと多く作りたいと思っています。そのうち超ド派手なギターが出来上がるかもしれませんね(笑)。

完。



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  1. 2014/09/26(金) 14:03:17|
  2. インレイ
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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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