奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

サイド曲げ用の治具作り

ちょっと前になりますが、サイド曲げ用の治具を作りました。これが初めて作る治具ではなく、複数所有しています。この治具のシェイプは作るギターのシェイプと同じものでなければなりません。

数年前まではベンディングアイロンを使って手曲げをしていたのですが、ある日コアのサイドを手曲げしている時、杢の強いところから割れ始めました。どうしてもそのコア材を無駄にはしたくなかったので、作業を中断し、サイドベンディングの治具を製作することにしたのです。割れはそれほど深くなかったので、これ以上割れが深く行かなければどうにか活かすことが出来ると判断しました。この時の話は4年半前の記事、「Fox Bender でのサイド曲げ」に書いています。

手曲げをしている時、杢から割れ始めると、それを止めることはかなり難しいです。杢というのは別名、トラ目とも呼ばれており、木目に対して90度に入っている模様で、塗装をするととても綺麗に浮き立つのですが、問題は曲げる時に割れやすいことです。特に濃い色の杢は要注意です。杢が入っている木材には、メイプル(カエデ)、コアなどがあります。

しかし、サイドベンディングの治具を使えばその心配はありません。ステンレス製の板で木を挟んで曲げるので、木は割れたくても行き場所がないのです。これはチャールズ・フォックスという製作家が最初に作ったので、フォックス・ベンダーと呼ばれていました。私もかなり前から使ってみたかったのですが、市販されているものは結構な値段がしました。しかし、全く同じものでなくても、自作出来るということが分かり、いろんな写真を参考にして自作しました。最初のフォックス・ベンダーは型の中に3つの電球があり、その熱で曲げることになっていましたが、途中からヒーティング・ブランケットというゴムみたいなものの中に鉄線が入っており、スイッチをいれると一気に何百度の熱さになるものが登場し、私はそれを使用することにしました。

ということで、一番最近作ったベンディング・マシーンを紹介します。

2304.jpg
使用するのは厚さ18ミリの合板です。まず2枚の合板を両面テープで重ね、端から1 1/2インチのところにラインを引き、そこからギターシェイプの半分を描きます。そしてバンドソーでラインに沿って切り、きれいなボディー半分のシェイプを作ります。

2305.jpg
きれいなボディーのシェイプが出来た後は、両方が尖ったコンパスを使い、ステンレス製の板一枚分の厚さとサイドの厚さを足した分のラインを引きます。この厚さ削ったシェイプがサイドベンディング治具のシェイプになります。

2306.jpg
コンパスで引いた傷をシャープペンでなぞってラインを引きます。次にこのラインまで削り、最終的なシェイプの完成です。このシェイプは実際にギターのシェイプよりも小さくならないといけません。これにステンレス製の板一枚、そしてサイドが
加わって実際のシェイプになるからです。

2307.jpg
ステンレス製の板一枚分とサイドの厚さを差し引いたシェイプが出来上がったら、次はまたコンパスを使って外側から8ミリのラインを引きます。これは後で使うパイプの直径が16ミリだからです。使うパイプは10本なので、10ヶ所に印を付けます。

2308.jpg
直径16ミリの穴を10ヶ所に開けます。

2309.jpg
穴が開け終わったら、両面テープで重ねていた2枚の合板を離します。

2310.jpg
まず片方の板を底板にネジで留めます。板は底板に対して直角になるようにします。

2311.jpg
もう片方の板もネジで留めました。

2312.jpg
直径16ミリのパイプを10本用意します。パイプの長さは6インチです。これが治具の幅になります。

2313.jpg
パイプが10本揃いました。

2314.jpg
エポキシ系の接着剤でパイプを接着します。

2315.jpg
パイプの接着が終わり完成です。次はウエストを押さえるブロックを作らなければなりません。

2316.jpg
ウエストを押さえるブロックは合板を重ねて接着して作りますが、この合板は最高級の合板、バーチ(Birch)を使いました。理由は、曲げる時に水を吹きかけるので、狂いの少ないバーチが最適と判断しました。このブロックのウエストを押さえるシェイプですが、これは実際のシェイプにステンレス製の板一枚分とヒーティング・ブランケットの厚さを足したシェイプになります。

2317.jpg
これがベンディングに必要なパーツです。ステンレス製の板の上にあるのがヒーティング・ブランケットです。

2318.jpg
サイドベンディング中です。型に印してあるウエストのラインとサイドのウエストの印が合うように、まずFクランプでウエストを締めていきます。印が合ったところでボルトを装着して締めます。サイド材は水で濡らした後、ローズウッドなどはそのままステンレス製の板に挟みますが、メイプルやマホガニーなどの薄い色の木材の場合は、色が付かないように濡らした後にアルムホイルで包みます。

2319.jpg
ウエストを曲げた後は、ご覧のようにパネを使ったブロックをウエスト部分からスライドさせて木を曲げます。挟まれている木には逃げ道がないので、割れることを心配する必要はありません。

2320.jpg
ベンディングが終了したらFクランプを外します。この後は乾燥させます。乾燥してから型から外し、製作用のモールドにはめ込みます。

ということで、パーツさえ揃えば、製作は簡単です。近い将来、またいくつか製作すると思います。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
  1. 2014/05/19(月) 09:35:44|
  2. 治具・テンプレート
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

バック用の半径12フィートのディッシュ製作 その2

前回の記事、「バック用の半径12フィートのディッシュ製作 その1」の続きです。

いよいよ削りに入ります。ディッシュの中心辺りから徐々に削っていくのですが、MDF の屑の量が半端ではありません(笑)。でもこれは仕方ないですね。これさえ出来上がれば、あとは半永久的に使えます。

それでは写真だけで説明します。

2231.jpg
レール上のルーターを少しずつ動かしながら、ディッシュの中心から徐々に削っていきます。それにしても、MDF の屑の量が半端じゃないです(笑)。

2232.jpg
途中できちんと削れているかチェック。ディッシュの表面に半径12フィートのテンプレートを置いてチェックします。

2233.jpg
削り終わりました。でもこれで完成ではありません。

2234.jpg
ディッシュの表面はまだ粗いので、サンディング用のスティックを作ります。

2235.jpg
スティックの表面はディッシュと同じ半径12フィートです。表面にサンドペーパーを貼り付けます。中心にはディッシュの中心と同じ穴を開けます。

2236.jpg
ディッシュの表面に鉛筆で印を付け、サンディングスティックを両手で持って回しながら、鉛筆の印が無くなるまでサンディングします。

2237.jpg
サンディングが終了し、ディッシュの完成です。どこにテンプレートを置いても半径12フィートです。

2238.jpg
ブレイス接着用とサイドの接着面サンディング用の2枚を作りました。サンディング用には、全体的にサンドペーパーを貼るのですが、サンドペーパーがちょっと足りなくて写真のようになっています。後で全体的に貼りますね。

2239.jpg
このようにして、接着面が半径12フィートのブレイスをディッシュを使ってバックに接着します。

2240.jpg
バックをサイドに接着後、バックのアーチをテンプレートを使ってチェックします。半径12フィートです。

2241.jpg
横のアーチもバッチリです。

さあ、これでディッシュを作ることもしばらくないでしょう。これで計6枚のディッシュを保有することになりました。半径15フィートを全く使わないわけではないのですが、こからは12フィートをメインにします。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

  1. 2014/04/30(水) 07:33:57|
  2. 治具・テンプレート
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

バック用の半径12フィートのディッシュ製作 その1

去年の1月に「バックのアーチ変更」という記事で書いたのですが、バックのアーチを変更することにしました(最初の計画から大幅に遅れましたが)。今までは半径15フィートのアーチを使用していたのですが、今度から半径12フィートのアーチを使います。変更の理由は2つほどあるのですが、前の記事でも書いたようにこれは企業秘密です(笑)。


トップとバックをアーチさせるにはディッシュを使用しています。ディッシュを使ってトップとバックの内側にブレイス(力木)を接着したり、サイドのトップとバックとの接着面をサンディングするのです。

このディッシュですが、最近はギター製作専門のサプライヤーから販売もされていますが、私は自作しています。これはアメリカ在住の H 君から伝授してもらった作り方なのですが、今回も同じ方法で製作しました。10数年ぶりの製作でした。今まで使用していたのは、トップが半径25フィート、バックが半径15フィートでしたが、今回はバックだけを半径12フィートに変更します。もっとアーチが大きくなるわけです。

それでは写真で製作工程の説明をします。

2217.jpg
まず24インチ X 24インチ X 厚さ18ミリの MDF を2枚重ねて接着します。2枚重ねて厚くする理由は、変形防止のためです。

2218.jpg
MDF の真ん中に、穴を開けた小さい MDF を両面テープで貼り付けます。この穴は旋盤で垂直に開けられています。大きい MDF の中心には旋盤で穴が開けられないので、この小さい MDF の穴をガイドとして垂直な穴を開けます。

2219.jpg
この穴がガイドとなり、ハンドドリルを使ってフリーハンドで垂直の穴を開けます。

2220.jpg
写真には撮っていませんが、ルーターとサークルカッターのガイドを使って円を描いています。ほんの僅か削っているだけです。

2221.jpg
バンドソーを使って丸く切ります。

2222.jpg
製作するのは2枚です。接着用とサンディング用になります。ラフカットが終わりました。

2223.jpg
最初に使ったサークルカッターのガイドを使ってルーターで縁を綺麗に削ります。

2224.jpg
ディッシュ製作の治具のベースです。10数年ぶりに使います。ずっと取っておいて良かったです。円はキャスターの跡です。

2225.jpg
ディッシュの裏側にキャスターを取り付けます。

2226.jpg
4つ取り付けました。

2227.jpg
この作業にはタイヤ型のよりも、このボール型のキャスターの方が適していると思います。

2228.jpg
ベースの中心にあるロッドにディッシュの穴を差し込みました。これでディッシュは回転します。

2229.jpg
ディッシュの上に2本のレール(橋)を架けます。このレールのアーチは半径12フィートです。本当はディッシュの削れるところが半径12フィートなので、レールのアーチは、削れるところからレールまでの距離をマイナスにした半径であるべきですが、削り終えた後に微調整しますので、ここでは気にしません。因みに、指板用の治具は正確に計算して作っています。

2230.jpg
さあ、いよいよ作業開始です。2本のレールの幅はルーターのベースの幅と同じなので、動くのは縦だけで、横には動きません。ディッシュを回転させながらルーターをレール上で縦に動かして削ります。これで綺麗なお椀が出来上がるわけです。

それではまだ続きますので次回をお楽しみに。

続く。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

  1. 2014/04/29(火) 08:21:35|
  2. 治具・テンプレート
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

指板アール削り出し治具のアップグレード版を考える

指板のアール出しはオリジナルの治具を使って削っています。3年前の記事、「指板のアール削り出し」でも紹介しました。この治具の長所と言えば、正確なアール面が削り出せるということですが、短所は時間が掛かることです。削る方向がフレットスロット(フレットの溝)に対して平行なため、一回で削れる幅は1/2インチ(約12.7ミリ)弱(トリマーのビット幅が1/2インチ)。ということは、削る度に指板を動かして、約40回も削らないといけません。もしこの治具がフレットスロットに対して垂直に削れるのであれば、削る回数はもっと少なく、所要時間ももっと短縮出来るのではないでしょうか。

新しい治具をいろいろと考えたのですが、参考になる治具があったので、そのうち作ってみたいなと思います。今使っている治具は正確に削れるので、まだしばらくは使用しますが、もっと良い治具が完成すればお役御免となります。

さあ、頭を使わないと。

1979.jpg
まず指板を専用のテンプレートに固定します。裏側から指板の両端をネジ留めしています。

1980.jpg
これが指板アール削りの自家製専用治具です。指板のアールは半径16インチに削ります。過去の記事でも書いたのですが、トリマーのベースのアールと土台のアールは半径16インチではありません。トリマーのビットの先端が指板に当たる部分が半径16インチですので、トリマーのベースのアールと土台のアールは半径16インチちょっとあります。16インチにして、後で指板の表面をサンディングして微調整すれば良いのですが、なぜかこだわってしまいました。でもこの方法だと、トリマーで削っただけで正確な半径16インチのアールになります。

1981.jpg
まず最初の削りです。正確な半径16インチのアールになっています。

1982.jpg
こうやって削っていくのですが、一回の削りの幅が1/2インチ(12.7ミリ)以下なので、指板全部を削るのに時間が掛かってしまいます。

1983.jpg
削る時はこんな感じです。

1984.jpg
もう少しだ。

1985.jpg
削り終わりました。トリマーのビットの跡が全体に残っていますが、サンディングをするれば取れます。言い忘れていましたが、トリマーのビットは最初から指板の表面に平行に当たる保証はないので、トリマーのベースの片方側にシムを入れて微調整します。平行になってもご覧のようにビットの跡は若干残ります。でもサンディングをすれば問題ありません。

1986.jpg
ご覧のように正確な半径16インチのアールです。今度は半径12インチのアールも作りたいので、新しい治具を作る必要があります。おそらく新しい型の治具になると思います。



  1. 2013/08/20(火) 11:04:40|
  2. 治具・テンプレート
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

バックのアーチ変更

以前にもボディのトップとバックのアーチについてはお話したことがあるのですが、今度、バックのアーチを変更しようかなと思っています。

ギターのボディのトップとバックをアーチさせる理由は、まず強度でしょう。物理的に、フラットにするよりもアーチさせる方が強度は増します。例えば、自動車のボディはデザイン的な理由もありますが、強度のため、表面はアーチしています。ギターに関して言えば、6本の弦を張った時の張力が70キロ以上になるトップには強度が必要となります。それと、湿気、乾燥などの環境の変化によって起こる表面の浮き沈みに対応するには、このアーチが必要不可欠となります。

私が現在、ギターに採用しているアーチは、トップが半径25フィート(約7.5メートル)の円周、バックが半径15フィート(約4.5メートル)の円周です。トップとバックにアーチを付けるためには、下の写真のディッシュが必要となります。このディッシュは、お椀のように中が抉れています。トップ用とバック用にそれぞれ2枚、合計4枚のディッシュがあります。2枚のディッシュは接着用とサンディング用です。これは全部自作しました。

1591.jpg

接着用のディッシュは、下の写真のように、棒を撓らせて力木を接着します。

1592.jpg

もう一つのディッシュにはサンドペーパーが貼ってあり、下の写真のようにサイドの接着面を出すために使います。

1593.jpg

トップは現行の半径25フィートの円周を続けるつもりですが、今度から、バックには半径15フィートの円周ではなく、更にアーチが大きくなる半径12フィート(約3.6メートル)の円周を採用しようかなと思っています。なぜバックのアーチを大きくしようと思っているのか・・・それは企業秘密です(笑)。

バックのアーチを変更するのであれば、新しいディッシュが必要となります。もちろん、今回も自作する予定です。昔アメリカにいた時は、ボディにアーチは付けていましたが、ディッシュというものは存在していませんでした。存在していないというと語弊があるので、一般に知られていなかった、又は、ディッシュ等も販売されていなかったし、その情報も無かったと言っておきましょう。このディッシュ等の情報が出始めたのは90年代の中頃で、私もこれを採用したいなと思っていました。そして2001年に久しぶりに訪れたアメリカで、ギター製作学校で一緒だった日本人のH 君に、ディッシュの製作方法を伝授していただき、ロンドンに戻ると早速製作を始めました。

下の写真が当時のディッシュ製作の写真です。久しぶりに作るので楽しみです。

1594.jpg

1595.jpg


  1. 2013/01/22(火) 13:43:00|
  2. 治具・テンプレート
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
次のページ

プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

挨拶 (17)
製作家 (20)
ギターショップ (8)
製作工程 (74)
リペアー (135)
道具・工具 (25)
機械 (5)
治具・テンプレート (16)
インレイ (25)
木材 (9)
材料 (13)
ピックアップ (10)
作業場 (1)
ミュージシャン (38)
ギター情報 (11)
ギター紹介 (24)
メディア (7)
ロンドン情報 (10)
イギリス情報 (6)
書籍 (5)
紹介 (4)
出来事 (20)
ギター雑誌 (5)
ギターショー (14)
塗装 (18)
ピックガード (2)
日本滞在 (22)
未分類 (0)
デザイン (1)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。