今日はロゴの話です。
私のギターのロゴは見ても分るとおり、自分の名字、奥村の「奥」を漢字で使用しています。なぜ漢字になったか、という話です。

自分のギターのロゴを決めるにはかなり時間が掛かりました。通常、日本のギター(ギターだけではありません)で使われるロゴには英語のアルファベットが多いです。しかし、どうしても自分のロゴをアルファベットにはしたくありませんでした。昔はアメリカかぶれだった自分も、実際にアメリカに住み、そしてイギリスへと海外生活が長くなると、自分は日本人だという自覚が強くなります。欧米から日本を見ると、日本にいる時には気付かなかった日本の良さ、そして悪さがよく見えてくるものです。ということで、ロゴはどうしても自分のアイデンティティを出したいと思っていました。はっきり何にしたいか分らなかったのですが、OKUMURAではなく、奥村というニュアンスでいきたいと。そして最初に考え出したのが、奥村の家紋を使うということでした。

奥村家の家紋は花菱で、それをゴールドの真珠貝で作り、その下に茎と葉のイメージをアワビ貝で施しました。自分の日本人らしさが出ているし、デザインも気に入ったのですが、問題は、ハンドメイドで作るにはかなりの時間が掛かるということでした。特に花菱の左右対称の形をフリーハンドで作るには、時間だけでなく、かなりの精神力と集中力が必要でした。こんなに時間は掛けられないということで、これを簡素化することにしました。それが下の画像です。

シェイプは花菱の形をそのまま使い、中は薩摩の島津家の家紋をイメージしたデザインにしました。これも日本的で気に入ったのですが、それでも左右対称の形をフリーハンドで作るのは至難の業でした。コンピューター等を駆使して作っている他メーカーのロゴには太刀打ちできません。シンプルなデザインだったとしも、フリーハンドで左右対称の形を作るのは難しいのです。治具などの製作も検討しましたが、シェイプの細かいところまでは作れません。ロゴを外注するメーカー、製作家もいますが、自分のロゴは自分で作るもの、という気持ちが強い私には、それはできません。
そしてある日ふと思いました。自分の名前は奥村だから、それをそのまま使ってはどうかと。アルファベットも考えなかった訳ではないのですが、どうしてもいいデザインが浮かびませんでした。しかし、漢字だといろいろとアイデアが出てくるのです。今までギターに漢字のロゴを使ってあるのを見たことがなく(正確に言うと、80年代に日本のエレキで、六弦というのがありました)、漢字はギターのロゴには使わないものだと勝手に思っていました。でもどうして使わないのでしょうか。欧米の人達は自分の名前をそのままアルファベットでロゴにしています。自分の名前は漢字だし、それを堂々と出していいのではないかと思うようになったのです。おまけに、欧米では漢字は大人気です。街では漢字が入ったTシャツをよく見かけます。20代から40代のイギリス人の3人に1人はタトゥーを入れていると言われていますが、漢字のタトゥーをしている人もよく見かけます。ということで、漢字にすることにしました。奥村の2文字ではなく、シンプルに「奥」にしました。いろんなデザインを考えたのですが、最終的に今のデザインになりました。


別にごまかしているわけではないのですが、左右非対称というデザインは比較的簡単なんです。多少の誤差があっても全く分りません。ピースは4つあって1つ1つが細かいですが、家紋に比べれば全然平気です。そしてこのロゴ、欧米の人達からは気に入ってもらっています。

スポンサーサイト
- 2010/07/31(土) 11:28:07|
- インレイ
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0