またまた弦のビビりの話です。
ギターは
Stonebridge というメーカーの12弦です。Stonebridge というのは、
Furch というチェコのメーカーから派生したギターメーカーです。Stonebridge というメーカーが日本で知られているかどうか分かりませんが、私は今回初めて知りました。


ギターが最初に持ち込まれた時は、弦高は若干高く、弦のビビりも数カ所で発生していました。
12弦ギターの弦の張力は6弦ギターに比べるとかなり大きく、ネックの反りは別として、ネックとボディーのジョイント部分からネックが前に倒れる現象が起こります。これは6弦ギターでも起こることなのですが、12弦ギターだとその現象が如実に現れます。
12弦ギターの場合は、その弦の張力の大きさから発生するネックへの負担を軽減するため、全弦を半音、または1音下げてチューニングすることもしばしばあります。しかし、この12弦ギターのチューニングは通常通りで、それにしてはネックの前起きが少ないかなと思いました。
弦を外した状態でネックの真っ直ぐさをチェックすると、ネックジョイント辺りから指板(フレットを含む)は徐々に低くなっています。いわゆる fallaway というものです。fallaway を施すことにより、たとえ弦を張った時に多少のネックの前起きが起きたとしても、弦のビビりが起こる可能性を最小限に食い止める事が出来ます。
弦を張った時のネックの前起きが少ないと言っても、やはり fallaway は無くなってしまいます。弦のビビりを無くすため、fallaway を大きくすることにしました。そして1フレットからネックジョイントの14フレットまでの中にいくつか高いフレットがあり、それもビビりの原因になっているので、全体的なフレットの擦り合せをすることにしました。

フレットの擦り合せが終了し、弦を張ってサドルの高さの調整も行いました。これで弦のビビりは無くなるはず、と思ったのですが、5、6弦の7フレットから10フレット辺りがビビります。やっと直ったと思ったのに残念です。こんな事を言ったらいけないのですが、実は12弦ギターって面倒なんですよ。弦は12本あるし、その弦を外していると、弦同士が絡み合ったりして外すのも大変だし、とにかく面倒臭いのです。
ビビりの原因はネックリリーフの大きさと、fallaway の大きさが足りないのかもと思いました。ただ他の仕事でも忙しいし、弦12本を張ったり外したりが大変なので、やむを得ず、しばらくそのままにしておくことにしました。

しばらくして、再びこのギターの修理に取り掛かりました。ヘッド方向からネックを覗くと、ネックの反りが若干大きく、ネックジョイント部分からのネックの前起きで、フレットがブリッジ方向に向けて下がっていない状態になっています。但し、ネック角は大きいので、弦を張った状態で、ネックにストレートエッジを置いてみると、その先はブリッジの丁度上に乗る位置になっていました。


ネック角には問題が無いので、ビビりの原因として考えられるのは、ネックリリーフが大きい(順反りが大きい)ということと、ネックジョイントからの fallaway が小さい、つまり、フレットの高さの下がり具合が小さいという事です。弦は弾かれると振動するので、ネックジョイントからハイポジションへ向けてのフレットが高くなっていると、そのフレットに振動する弦が触れてビビるのです。
それでまず、ネックジョイントからのフレットの高さをもっと下げることにしました。


フレットの擦り合せが終了した後は、トラスロッドを調整してネックリリーフを小さくします。

最終的なサドルの高さの調整を行いました。恐る恐る弦を弾いてみると、弦のビビりは全く無くなっていました。
「よかったあ~。」

ビビりが無くなって良かったです。12弦ギターの調整は面倒臭いです(笑)。でもこんな事を言ってはいけないんですよね。仕事ですからね。
これからもビビりとの戦いは続きます(笑)。
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- 2015/05/29(金) 00:27:18|
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