奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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購入後20年経って初めてのメンテナンス Martin D-18

7月初旬のある日、ロンドン在住の日本人の方から連絡がありました。数年前から私のブログを読んでいらっしゃったらしく、20年ほど前、日本で新品として購入した Martin D-18 のメンテナンスをして欲しいということでした。購入後、一度もメンテをしてもらったことがないそうです。いろんな国をこのギターと共に旅したらしく、かなり弾き込んでいるギターだそうです。

数日後、工房にギターを持って来てもらいしました。新品で購入したギターだそうですが、この20年間でビンテージギターに変貌していました。かなり渋くなっています。指板の指が当たる部分は凹み、フレットも磨り減っていました。ネックは若干順反りしており、弦高は1弦側が高く、6弦側が若干低い状態になっていました。ナット溝は深く、ネックを真っ直ぐにして弦高を下げると、おそらく開放弦を鳴らすとビビるのではないかと予想されました。

ナット交換、フレットの擦り合せ、そしてボディーのバインディングが剥がれている部分があるので、それを再接着するということでリペアーの内容が決まりました。

最初はフレットは擦り合せをするだけの予定だったのですが、実際に作業に取り掛かる時にチェックしてみると、思ったよりも減りが大きく、フレットの打ち換えが必要だと思いました。お客さんに連絡してその旨を伝えると、フレットの打ち換えでお願いしますという返事でした。お客さんによると、ギターのメンテナンスは自動車の車検と同じだと考えているので、悪い所があればオリジナルパーツに拘らず交換して欲しいということでした。私もこの意見には賛成です。ギターは使う道具です。悪い所があれば交換してベストの状態にするべきであり、特にフレット、ナット、サドルの交換は必須だと思います。

それでは写真で作業に内容を説明しますね。

3154.jpg
20年間いろんな国を旅した Martin D-18 です。かなり渋いギターになっていました。ピックガードにはお客さんの名前が彫ってあります。

3155.jpg
サウンドホールには Fishman のピックアップが取り付けてあります。

3156.jpg
ボディーのバインディングが一部剥がれているので再接着します。

3157.jpg
サドルは1弦側が高く、6弦側が低くなっています。サドルは交換せず、サドルの底に牛骨のピースを付け足して調整します。ブリッジピンはブラス製に交換してありました。

3158.jpg
以前、マイクスタンドが倒れてギターの側板に当たってしまい、大きな穴が開いたそうです。日本でリペアーをしてもらったそうです。新しいマホガニーの木片がはめ込まれ、色合わせ、再塗装が施されていました。かなり良い仕事がされていますね。

3159.jpg
ボディー内を覗いてみると、修復部分の補強もきちんと施されています。

3160.jpg
フレットはかなり減っていますね。フレット交換です。指板もかなり磨り減って凹んでおり、20年の長い年月を感じます。

3161.jpg
フレットを横から見ると、その減り具合がよく分かります。

3162.jpg
フレットを抜き取ります。ローズウッドが欠けることなく上手く抜けました。ハンダゴテでフレットを温めて外します。

3163.jpg
フレットを全部抜き取りました。

3164.jpg
フレットを新しく打ち込むためには、まず指板を真っ直ぐに削る必要があるのですが、その前にナットを外さなければなりません。通常、ナットはハンマーで軽く叩くと外れるのですが、このナットはなかなか外れませんでした。かなりきつくはまっているようです。今までで一番外しにくいナットでした。用心して外さないと、ヘッドの塗装が欠けてしまう恐れがあります。しかしなかなか外れません。ハンマーで叩いて横にスライドさせ、飛び出した部分を下から上に軽く叩いて外しました。とにかく塗装が欠けないか心配でした。

3165.jpg
ナットがやっと外れてホッとしました。

3166.jpg
新しいフレットを打ち込む前に指板を真っ直ぐに削ります。指板はネックジョイント部分の14フレットから徐々に下がっていました。このような状態が理想です。

3167.jpg
指板が真っ直ぐになった後、新しいフレットを打ち込みます。

3168.jpg
フレットの打ち込みが終わりました。

3169.jpg
さあ、これからフレットの擦り合せです。フレットの高さを揃え、形状を整えます。

3170.jpg
剥がれていたボディーのバインディングを再接着します。マスキングテープで留めます。

3171.jpg
新しいナットを製作します。

3172.jpg
新しいナットが出来上がりました。ナット溝も丁度良い深さで、これで開放弦でのビビりはありません。

3173.jpg
サドルも高さの調整が終わりました。1弦側が高く、6弦側が低かったので、牛骨をサドルの底に付け足して調整しました。

3174.jpg
新しいフレットです。弦高も丁度良い高さに調整しました。弦のビビりは全くありません。ネックリリーフ(若干の順反り)も完璧です。

3175.jpg
リペアーが終了しました。

試奏したのですが、かなり良い音になり、ずっと弾き続けてしまいました。フィンガーでの演奏も良いのですが、フラットピックを使ってのストロークした時の音がとても気持ち良かったです。D-45、D-28 にも全然負けていません。お客さんがギターを取りに来られて試奏して頂きましたが、音が良くなったことに驚かれ、大変気に入って頂きました。後日、お客さんからお礼のメールを頂き、ギターを蘇らせることが出来て嬉しく思いました。やはりお客さんに喜んでもらうのは嬉しいですね。



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  1. 2015/07/30(木) 06:08:56|
  2. リペアー
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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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