奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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Epiphone PR350Sのリペアーのお話 その2

前回の記事、「Epiphone PR350Sのリペアーのお話 その1」の続きです。

前回の記事にも書いたように、この Epiphone PR350S はネックリセットを行わずに弦高を低くすることにしました。お客さんにとってネックリセットは予算オーバーになるし、そもそもこのギターは簡単にネックが外せるジョイントではなさそうです。安価なギターはネックが外せるようには作ってありません。

さて、どうやってネックリセットなしで弦高を下げるかということですが、よく行われるブリッジ上部の削りを行います。ブリッジを薄くすることにより、サドルがもっと見えるようにするのです。しかし、それだけでは十分なサドルの高さを得ることは出来ません。そこで同時に行う方法として、指板のナット側を多めに削り、ネックのボディーに対する角度を増すのです。フレットの打ち換えをする場合、新しいフレットを打ち込む前に、指板を真っ直ぐに削ります。その時、ナット側を多めに削るのです。こうすることでネック角を増やし、サドルを少しでも高く出来るようにするのです。計算によると、この2つの方法を行うことにより、ちょうど良い弦高が得られるはずです。

まずフレットを抜きます。

3355.jpg

トラスロッドを若干回し、指板を真っ直ぐにします。

3356.jpg

ケガキを使い、ナット側の指板の削る部分に印を付けます。削る厚さは 1/32 インチです。ここからネックジョイントに向かって徐々に削ります。ネックジョイント部分は殆ど削りません。このようにしてネックの角度を増やします。

3357.jpg

余談になりますが、下の写真でも分かるように、私は指板を削ったり、フレットの擦り合わせを行う場合、専用の道具を使いません。砥石にその用途に合ったサンドペーパーを貼り付けるだけです。これで立派な仕事を果たします。以前は専用のガラス製を使っていたのですが、土台の木に狂いが生じ、その後床に落としてガラスが割れてしまいました。それ以来、ずっとこの方法です。

3358.jpg

指板が綺麗に削れました。

3359.jpg

新しいフレットを打ち込みます。

3360.jpg

指板を削ることにより、サドルを少し高くすることが出来ました。しかし、まだ足りません。次はブリッジの削りです。

3361.jpg

まず全体的に同じ厚さを削ります。ブリッジ上部のアールはサドルのアールよりも緩やかなので、サドルの低音部、高音部がなるべく露出するように、両脇を多めに削ります。

3362.jpg

ブリッジは全体に黒い塗料が塗ってあったので、両端の塗装も剥がします。

3363.jpg

ブリッジはローズウッドで、このままでもいいかなと思ったのですが、黒い染料でブリッジを染めることにしました。削る前の黒よりも渋い色になりました。

3364.jpg

弦を張って弦高を調整すると、ご覧のようになりました。サドルがもうちょっと高くなればもっと良いのですが、これが限界です。

3365.jpg

弦高もちょうど良い高さになり、完全に生まれ変わりました。弦のビビりもなく、弾きやすさもバッチリです。

3366.jpg

ギター全体をポリッシュして長年の汚れを落とすと、見違えるように綺麗になりました。ピカピカです。

3367.jpg

3368.jpg

3369.jpg

3370.jpg

3371.jpg

3372.jpg

本来ならば、ネックリセットが一番良い修復方法なのですが、ギターが安価、ネック取り外しが難しいネックジョイント、予算オーバーといった理由で、指板を削ってネック角を変え、ブリッジを削るという方法で、ちょうど良い弦高に調整出来ました。

お客さんに修復が終わったことを連絡し、修復の方法を説明すると大変喜ばれ、自分は体が弱いので、付き添いの若い男性が Ivor Mairants でピックアップしたいと言われました。後日、その若い男性がギターを取りに来られたのですが、修復代と一緒に、お礼に赤ワインも置いていかれました。味わって飲みたいと思います。

3373.jpg

お客さんの病気から回復され、これからもずっとこのギターを弾かれることを望みます。



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  1. 2015/11/22(日) 13:33:23|
  2. リペアー
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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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