奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

ネックブロックの破損 その4

明けましておめでとうございます。今年もこのブログを宜しくお願い申し上げます。

いろいろと慌ただしかった2014年が終わり、いよいよ2015年の始まりです。今年も忙しくなりそうですが、気合いを入れて頑張っていこうと思います。

と言うことで、今年最初の記事は、去年から取り組んでいるリペアーの話です。ちょっと前の記事、「ネックブロックの破損 その3」の続きになります。

前回の記事では、ネックを取り外してみると、表板とネックブロックが密接に接着されておらず、それが原因でネックがボディーに食い込んでしまっていることが判明しました。しかし、ネックブロックの状態を完全に把握するには、表板を取り外さなければなりません。ネックブロックはボディー内に食い込んでいるため、ボディーからの剥がれ、または破損等の可能性があります。これを確かめて修復しない限り、ネックをボディーに再接着することは出来ません。

表板を外す前に、ボディーの周りに施されているバインディングとパーフリングを取り外します。

2698.jpg

パーフリングと表板との境目の塗装をアートナイフで切り込みを入れながら、丁寧に取り外します。

2699.jpg

2700.jpg

バインディングとパーフリングが綺麗に外れました。

下の写真で分かるように、ネックジョイント部分のサイドは、内側に食い込んでいます。

2701.jpg

ネックブロックがボディー内側に食い込んでいるため、表板は剥がれています。

2702.jpg

2703.jpg

温めたナイフを使って、表板と側板を切り離していきます。

2704.jpg

ブレイス(力木)も丁寧に側板から切り離してます。

2705.jpg

表板を取り外しました。

2706.jpg

2707.jpg

表板の裏側には、製作年月日が烙印されていました。1972年11月22日です。私の姉の誕生日です。14才になった時ですね(笑)。

2708.jpg

下の写真でも分かるように、接着面はほんの僅かです。接着面は少ない上に、その接着面の接着剤が厚く、表板とネックブロックは殆ど密接にくっ付いていなかったことが分かります。これでは弦の張力に耐え切れず、表板がネックブロックから剥がれるのは当たり前です。

2709.jpg

ネックブロックの両端は側板から剥がれています。両端に隙間があるのが分かると思います。接着剤を取り除いてよく分かったのですが、右側の上の方に大きな亀裂がありました。写真でも少し見えると思います。

2710.jpg

ボディー下のエンドブロックもずさんな接着になっていました。これも表板と密接な接着になっておらず、分厚い接着剤で繋がっていました。

2711.jpg

ご覧のように、側板は合板です。単板は表板だけで、側板と裏板は合板です。裏板はカーブバックになっているのですが、内側にブレイスが無く、合板をプレスしたものと思われます。

2712.jpg

さて、これでネックブロックの状態がよく分かりました。次はネックブロックと表板の修復をそれぞれしなければなりません。と言うことで、次回をお楽しみに。

つづく。



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  1. 2015/01/02(金) 22:11:25|
  2. リペアー
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  4. | コメント:2
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コメント

あけまして

明けましておめでとうございます。
今年も奥村さんにとって良き年でありますよう。

これがあのG社のギターとは・・・。
ブログをみながら口あんぐり状態です。
そもそも表板に貼ってある布テープはなんの為に貼られていたんだろう?
1972年は「創業者アルフレッド・ドロンジが事故死した年」と
wikiに書いてありましたが、社内がよほど混乱していたんでしょうかね~

若い頃人と違うギターが欲しくてG社のギターを探し回ったこともあったなぁ。
結構憧れだったんですが(笑)
  1. 2015/01/04(日) 03:48:06 |
  2. URL |
  3. travispitz #-
  4. [ 編集 ]

Re: あけまして

travispitzさん、明けましておめでとうございます!
travispitzさんにとっても良い年であることを願っています。

それにしてもこのG社のギターは酷いでしょ。私も10代の頃、G社のギターを生のライブで見て、とても憧れたのを覚えています。もしかしたらこのずさんな作りは、このギターだけかも知れません。そうであることを願っています。全てがこんなに接着だとは信じたくありません。

それにしても、やはりこんな状態がになるには、それなりの原因があったんですね。この接着だったらこんなになるのが当たり前ですね。モノは嘘をつかないということですね。

この修復はまだ終わっていませんが、とても勉強になっています。これからも製作だけでなく、勉強のために様々なリペアーにも取り組みたいと思っています。
  1. 2015/01/04(日) 18:05:57 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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