奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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トラスロッドのレンチがはまらない!

ギターショップの Ivor Mairants でリペアーを行ったギターの話です。

ギターは Santa Cruz の D/PW です。

2760.jpg

2761.jpg

ブリッジの剥がしと再接着後、セットアップでネックリリーフがちょっと大きい(つまり順反り)が判明し、トラスロッドで調整することにしました。

Santa Cruz ギターのトラスロッドは、ボディー内部から調整するようになっており、ネックブロック上部に丸い穴があり、その真ん中にトラスロッドのナットがあります。ギターショップの Ivor Mairants は、Santa Cruz Guitar Company のイギリス総代理店であるため、Santa Cruz から直接、専用のトラスロッド用レンチを供給されています。トラスロッドのナットに差し込むソケットのサイズは2種類あり、2011年4月以前に作られたギターは 3/8 インチ、2011年4月以降ならば 5/16 インチです。

今回のギターの製作年数が分からなかったので、2種類のソケットをそれぞれ試してみたのですが、通常ならば簡単にナットにはまるソケットが両方ともはまりません。絶対にどちらかがはまるはずなので、ボディー内部のトラスロッドを鏡を使って見てみると、ナットがネックブロックの穴の中心に位置していないことが判明しました。

下の写真では分かりにくいと思いますが(写真が正面から撮れなかったため)、ナットが穴の上部の方に位置しています。そのためにレンチのソケットがはまりにくくなっているのです。

2762.jpg

Santa Cruz はしっかりと綺麗に作られているギターですが、時々こんなこともあるんですね。とにかく、ソケットがナットにはまるように、穴の上部を削って大きくしなければなりません。刃が細いノミを使って穴を拡大することにしました。

2763.jpg

内部は見えないので、手探りの作業になります。

2764.jpg

こんな感じで削れています。

2765.jpg

やっとソケットがはまりました。サイズは2011年4月以前まで使われていた 3/8 インチのソケットです。ギターの古さから言って、そうかなとは思っていました(笑)。

Santa Cruz から供給されたレンチは、このように柔軟に曲がるようになっています。これはトラスロッドのナットがネックブロックに位置しているため、真っ直ぐでソリッドだったら、サウンドホール上部のブレイスが邪魔になるからです。

2766.jpg

これで調整可能になりました。トラスロッドを時計回りに回して順反りを直します。

正直言って、この柔軟なレンチはあまり好きではありません。理由は、ナットの回りが硬いと、手前の回す方は回っても、ソケットは回らず、柔軟な部分がよじれるだけだからです。本当ならば、ソリッドなレンチが良いのですが、トラスロッドの位置を考えると、仕方ないのかもしれません。

2767.jpg

トラスロッド調整後、サドル調整も終わり、ちょうど良い弦高になりました。弦のビビりは全くありません。

2768.jpg

2769.jpg

まだお客さんには渡していませんが、喜んでもらえると思います。



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  1. 2015/01/16(金) 10:46:08|
  2. リペアー
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:3
<<ネックが真っ直ぐに接着されていない | ホーム | ネックブロックの破損 その7>>

コメント

ふむ・・・日本でSanta Cruzをお持ちの方はレンチは付属してるのでしょうかね?
各社色んなやり方があるのですね!大変参考になりました。
ちなみに私のロバートベンギターのロッドは1本がミリで1本がインチです。
まあ~いい加減たらありゃしませんね^^!)

  1. 2015/01/16(金) 14:55:55 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #DL0dExLA
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

アリゾナさん、コメントありがとうございます。返信が遅れてすみません。

おそらく Santa Cruz のギターには専用のレンチは付属していないのではないでしょうか。ブログの中のレンチからも分かるように、かなり大きいですからね。以前社長の Richard Hoover 氏と話をしたところ、他社がやっているように、ブレイスに穴を開けるのは、強度の面から考慮しても避けたいみたいなことを仰っていました。
メーカーによっては、ミリだったりインチだったりしますが、ミリにはミリ、インチにはインチのレンチを使った方がいいですね。例えば、4ミリのトラスロッドに 3/32インチ(3.97ミリ)のレンチを代用した場合、トラスロッドが固くて回りにくいと、レンチが空回りしてしまうことがありますからね。
  1. 2015/01/22(木) 08:59:48 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

 初めまして、自分もSanta Cruzのギターを所有しており、何度か検索で奥村さんのブログが出てきて見させていただいておりました。
 自分のギターはOMタイプですが、これまでトラスロッドの調整はできないものと思ってきましたが、この記事を読ませていただき、調整の方法が分かりとても参考になりました。
 このたび自分のブログ記事「弦のテンションと弦高」の中で、簡単ですが奥村さんのこの記事のことにリンクさせていただいた部分がありますのでコメントさせていただきました。
 これからも、いろいろ参考にさせていただきたいと思っております。
 
  1. 2015/12/18(金) 16:45:33 |
  2. URL |
  3. Pinebridge #kcA96A/o
  4. [ 編集 ]

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弦のテンションと弦高

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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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