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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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新しい塗装ブース

塗装ブースを別の場所で新しく借りることになりました。

私の工房は狭く、窓も換気口も無いので、今まで塗装ブースは自動車専用の塗装ブースを借りていました。しかし、その塗装ブースは北ロンドン、私の工房は南ロンドンにあり、移動やギターの運搬が大変でした。ところが最近、私の工房とある同じ建物の中に、塗装ブースを持っている木工職人の工房があることが分かり、今度から使わせてもらうことになりました。距離は私の工房から僅か25秒!この木工職人の方は、ギター製作にも興味があるということで、いつでも塗装ブースを使っていいと仰って下さいました。まさかこの建物の中に塗装ブースがあるとは思いませんでした。聞いてみると、排気口は最初からあったそうです。ラッキーですよね。私の工房にも排気口があれば塗装ブースを装備したいんですけどね。

下の写真がその工房なのですが、スライドドアーの向こう側に塗装ブースがあります。この工房はかなり広くて羨ましいのですが、もちろん家賃もかなり高くなります。

2962.jpg

下の写真が塗装ブースです。もちろん、エアーコンプレッサーなど、全てが揃っているのですが、スプレーガンだけは自分のものを使用します。お気づきだと思いますが、今回一番最初に塗装するギターはアコースティックギターではなく、エレキギターの再塗装です。

2963.jpg

このギターは Gibson Les Paul のダブルカッタウェイで、イギリスのバンド、The Kooks のリードボーカルのものです。彼から直接私に依頼が来たのではなく、間に2人のギター・テクの方々が入っています。おそらく無償で提供されたギターだと思われるのですが、彼はこのダークグリーンの色が気に入っていないそうで、ステージで使う時は、黒いガムテープをトップに貼っていたそうです。そこで私のところに再塗装の依頼が来たというわけです。

希望の色はシルバーで、Les Paul のゴールドトップがシルバーになった感覚だということでした。いろいろと色を探したのですが、最終的に見つかった色が、60年代の Fender Stratocaster に使われていた Inca Silver(インカ・シルバー)です。

2964.jpg

2965.jpg

2966.jpg

まず剥離剤で塗装を剥がします。15分程してからスクレーパーで削ると、下の写真のように簡単に剥がれます。バック材はマホガニーで、トップ材はフレームメイプルです。

2967.jpg

2968.jpg

塗装を剥がした後はサンディングを行います。

2969.jpg

2970.jpg

バック材とネック材のマホガニーは木孔が開いているので、塗装の前に目止めを行います。目止め剤には Z-Poxy を使用します。Z-Poxy はエポキシ樹脂系の接着剤で、目止め剤としては、これが一番気に入っています。

2971.jpg

ヘッドの表面だけはオリジナルのままにしておき、塗装は行いません。マスキングテープを貼って隠しておきます。

2972.jpg

トップ材は綺麗なフレイムの模様が入ってメイプルですが、今回は透けて見えないソリッドな Inca Silver を塗るため、フレイムは完全に隠してしまいます。まず白い下地(プライマー)を塗って木目やフレイムを隠してしまいます。その後に Inca Silver を塗ります。

2973.jpg

色を塗らないネックのバインディングはマスキングテープで隠し、色を塗った後に剥がします。そして全体的に透明のラッカーを重ね塗りします。

2974.jpg

重ね塗りの途中でウェットサンディングを行い、表面を徐々に平らにしていきます。

2975.jpg

最終コートが塗り終わったら、しばらくの期間、乾燥させます。その後、ウェットサンディング、バフィングと行い、最後にポリッシュで磨いて終了です。

2976.jpg

私の仕事はこれで終わりです。パーツの取り付けはギター・テクの方が行いました。そして下の写真3枚が完成したギターです。写真をよく見ると分かると思うのですが、トラスロッドカバーが付いていません。うっかり取り付けるのを忘れてしまいました。後日、トラスロッドカバーだけを届けに行くことになってしまいました(笑)。ドジです。

2977.jpg

2978.jpg

2979.jpg

このギターは次の The Kooks の世界ツアーから使用されるらしいので、その内 YouTube に登場するかもしれません。楽しみです。

今回この仕事を持って来て下さったギター・テクの SW 氏には大変感謝しています。ありがとうございました。またこんなコラボが出来ればいいなと思っています。

ということで、今回は新しい塗装ブースの話と、最初に塗装したギターの話でした。



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  1. 2015/04/09(木) 00:22:31|
  2. 塗装
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

おお、Kooksのギターですか!!
若手の中では割と好きなんですよね~Kooks。

でもアレですね。せっかくのフレイムがw
ダークグリーンも渋いと思うんだけどなぁ。
  1. 2015/04/09(木) 03:55:55 |
  2. URL |
  3. travispitz #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

travispitz さん、そうなんですよ。世界ツアーを行う超人気の The Kooks です。
こんな有名なバンドのギターに携わることが出来てとてもラッキーだと思っています。特にリードボーカルのギターなので、画面に映る頻度が高くなると思います。
私もダークグリーンで問題は無いと思いますが、本人はかなり嫌っていたらしいです。
  1. 2015/04/09(木) 08:36:22 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

ワールドツアーですか!もう若手とはいえないのかな?
現ツアースケジュールみたら日本には来ないようです。去年の秋に来てましたが。
奥村さんの手掛けたギターを生でみれなくて、残念!
どっかで映像みたらニヤニヤすることにします(笑)
  1. 2015/04/09(木) 16:28:50 |
  2. URL |
  3. travispitz #-
  4. [ 編集 ]

新しい塗装場

同じビルで見つかり良かったですね。

世界的にはノンシンナー、ノントルエンの流れの中、法的規制も増え、何処も処理設備を持った専門工場に頼むところが増えてます。

最新の所は壁一面滝のように液体が上から下に流れており、その手前に塗装するギターを吊し滝に向かってスプレーガンを発射。

空調も専用の特殊な物らしく、ほとんど臭いがしないのには驚きました。

すべて日本の技術だそうですが、何故か日本では一切見たことが無く、私が見たのは昨年広州に新設された工場でした。

イギリスでは法的規制はどうなのですか?

日本もどんどん規制が増えるようです。
  1. 2015/04/10(金) 07:25:41 |
  2. URL |
  3. 輝 #YMuN7fn.
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

travispitzさん、ニヤニヤして下さい(笑)!弾いてもらうのが本当に楽しみです。
  1. 2015/04/13(月) 13:00:42 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

Re: 新しい塗装場

輝さん、私も滝のように水が流れる塗装ブースのことは聞いたことがあります。匂いがしないって本当に不思議ですね。塗装ブースを確保するのは本当に大変ですね。アメリカでは、多くの製作家達が塗装を外注していますよね。私は自分でやりたいタイプなので、自分の塗装ブースが欲しいです。
イギリスでの法的規制も厳しくなっているいるらしいです。3,4年前、それまで入手可能だったアメリカ製のニトロセルロースラッカーが販売禁止になりました。なんか厳しいことばかり起こりますね。
  1. 2015/04/13(月) 13:06:31 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

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奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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