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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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とうとう遭遇したニセ Martin D-45

とうとう遭遇しました!マーティンの偽物です。

4年前に「マーティン社がヘッドストックを商標登録」という記事を書いたのですが、世界経済第二位のあの大国がマーティンの偽物を作っているので、とうとうマーティン社がトレードマークのヘッドシェイプを商標登録したという話でした。寛大なマーティン社は、それまではギターのシェイプ等の特許取得や商標登録をしておらず、マーティン社を尊敬する多くのギターメーカーや製作家が、マーティンギターをお手本としてきました。ところがあのコピー大国は、なんとロゴや烙印などもマーティン社のコピーをして製造販売を始めたのです。YouTube等でそのコピーを拝見することは出来るのですが、とうとうその偽物に遭遇する機会に恵まれて(?)しまいました。

ある日、毎週木曜日にリペアーでやっているギターショップに行くと、新しく持ち込まれたギターケースが置かれていました。表には紙が貼ってあり、「Martin D-45」と書かれています。心の中で「やったー!」と思いました。D-45 と言えば、マーティンギターの通常モデルでは最高級のギターです。その最高級のギターを修理出来るなんてラッキーだと思いました。早速ケースの蓋を開けてみると、その中にあったのは・・・。

ギターを見た瞬間、すぐに偽物だと分かりました。ギターを取り扱うのが仕事なんですぐに分かります。指板には唐草模様のインレイが施されているので、一瞬ハッとしますが、1秒後には「えっ?!」って感じです。ギターを取り出してみると、その作りの酷さにビックリしてしまいました。リペアーの依頼内容は、弦高が高くて弾きづらいので、弦高を低くしてセットアップをお願いしますということでした。

それでは写真でギターの説明をしますね。

2980.jpg
一瞬パッと見ると、指板に唐草模様のインレイを施した D-45 のカスタムモデルに見えますよね。

2981.jpg
この距離で何か違うと気づくあなたはかなりのギターオタクですね(笑)。

2982.jpg
ヘッドのシェイプは下の方が違いますね。ロゴは CF Martin と堂々とインレイされています。

2983.jpg
一瞬豪華に見える唐草模様のインレイですが、近くで見ると・・・。

2997.jpg
ギター内部のネックブロックですが、はっきりと D-45 と刻まれています。

2984.jpg
サウンドホール下のセンターストリップですが、マーティン社の名前、そしてナザレス・ペンシルベニア MADE IN USA と刻まれています。MADE IN C○○○○ とはなっていませんね。ところで、センターストリップは通常木目を裏板の木目に対して直交させなければならないのですが・・・。

2985.jpg
下の段が可笑しいです。通常は「LIGHTER STRINGS ONLY」なのですが、最初の「LI」が「U」という一つのアルファベットに見えたのでしょう。「UGHTER STRINGS ONLY」と刻まれています(笑)。

2986.jpg
異常に分厚いブリッジで、各ブリッジピンの間隔が均等になっていません。

2987.jpg
D-45 には、ボディー全体にアワビ貝のストリップが施されていますが、これはアワビ貝ではなく、何かプラスチックみたいな安価なものが施されています。

2988.jpg
塗装は本物のニトロセルロースラッカーではなく、ポリウレタン系の塗装です。かなり分厚く塗ってあり、ネックヒールとボディーの境目では塗装が盛り上がっています。

2989.jpg
もちろんこれは貝ではなく、アワビ貝の方は、、上に半透明のものがあり、一番底に模様があります。

2990.jpg
ナットもかなり安価なものを使ってありますね。ナットとヘッドの境目の仕上げも酷いです。

2991.jpg
ネックのヒール部分ですが、三角形の木片が埋め込んであります。

2992.jpg
ご覧のように弦高はかなり高く、ネックとボディーは初めて見る 14.5 フレットジョイントです。

2993.jpg
ヘッド・バインディングが異常に高いですね。それにしても弦の巻き方が・・・。

2994.jpg
裏の姿です。

2995.jpg
修理を行うため、まず弦を外し始めたのですが、全てのブリッジピンがなかなか外れず、とうとう3弦のブリッジピンが折れてしまいました(涙)。かなりの安物です。

2996.jpg
サドルは溝の幅よりも薄く、かなりグラグラしていました。そしてサドルの下にはシムが3本敷かれていました。シムは溝の幅よりも狭く、かなり適当に敷かれていた感じです。

ということで、これから修理に取り掛かります。弦高は高く、フレットの高さも不揃いで、かなりいい加減に作ってあるギターです。正直言って、2,3万の価値しかないと思います。

ギターショップのスタッフの話では、お客さんはギターを Martin D-45 と呼び、偽物だということは何も言わなかったそうです。ギターが仕上がった時に偽物だと知っているか聞いてみると言っていました。さて、真相は・・・。



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  1. 2015/04/13(月) 12:55:09|
  2. ギター紹介
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<急に舞い込んだ Martin 000-28 のリペアー | ホーム | 新しい塗装ブース>>

コメント

あの国は!

こんにちは^^! しかし、あの国はヤルこと成す事むちゃくちゃですね。倫理や罪の意識が欠如した人種ですから手に負えません。ヤフオク等で平気でマーチン・ギブソン・フェンダーのロゴを付けて販売しているのを見かけます。コピーされるのは一流品の証拠なんて昔は言ったものですが、今のご時世ではそれは許されません。以前メーカー勤務の時に社長っから”OEM生産をその国でやるから視察しに行ってこい!”と命じられましたが”中国だけは絶対に行きません!”と頑として首を縦に振りませんでした。首になるところでした^^(汗)
  1. 2015/04/16(木) 17:50:22 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

偽物が堂々と・・・

アリババのネットで売られているので、驚きです。

Martinの偽物は中国に限らず、近年ベトナム、インドネシア、インド。
ヨーロッパでもルーマニア製などが出回っていますね。

見たことはありませんが、イラン、イラク製もあるそうですよ。

中国製では福建省製は裏板の継ぎ目の補強に端材を使いますが、杭州あたりの物は材、仕様はMartinそっくりです。

中国は近年人件費アップがきつく、またヨーロッパへの輸送コストがかなり掛かるので、インド、中東、東欧の偽物が多いと聞きました。

写真のギターはかなり雑な作りですね。

中国なら福建省物か相当山奥ですね。塗装から見ると、ひょっとしたらベトナムかインド製かもです。

偽物サイトの株が堂々とニューヨーク証券取引所で取引されている。

どうなのかな~(^_^;)
  1. 2015/04/18(土) 00:16:36 |
  2. URL |
  3. 輝 #YMuN7fn.
  4. [ 編集 ]

Re: あの国は!

アリゾナさん、コメントありがとうございます。そして返信が遅れてすみません。

それにしても酷い代物でした。かなりコンディションが悪く、2、3万円の価値も無いと思います。
それにしても首にならなくて良かったですね(笑)。
  1. 2015/05/12(火) 07:58:25 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

Re: 偽物が堂々と・・・

輝さん、コメントありがとうございます!そして返信が遅れて申し訳無いです。

Martinのコピーは中国以外にもあるんですね。驚きです。私が修理したギターはかなり酷いもので、作りがずさんな上、機能性も悪く、かなり弾きづらいギターでした。こんなギターを購入する側の気持ちも理解出来ません。それにしても良い経験になりました。
  1. 2015/05/12(火) 08:06:15 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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