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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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Collings DS2H の塗装のキズを修復

塗装キズの修復を依頼されました。ギターは CollingsDS2H です。このギターはドレッドノートの12フレットジョイントで、私が大好きなモデルの一つです。ちょっと時間が掛かっていますが、現在同じモデルを製作中です。

3137.jpg

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表板の右下の方に2つのキズがあり、塗装が割れているため白い色になっており、ギターの持ち主はそれが目立って嫌だと言っていました。

軽くぶつけた程度だったら、塗装は割れずに凹むだけなのですが、尖ったものに強くぶつけたようなので、塗装が凹んだ上に、塗装自体も割れていました。2ヶ月程前に一度修復を依頼されたのですが、ギターの持ち主は一日で修復出来ると思ったいたようで、しばらくはギターを預からなければならないと言うと、いつも使っているギターなので、日を改めて依頼することになりました。

ラッカーは直ぐに乾燥しますが、完全に乾燥するには1ヶ月程掛かり、例えば2、3日で仕上げたとしても、塗装は更なる乾燥で縮み、段々とその部分が沈んでいきます。ギター製作で塗装をする場合でも、最低でも最終塗装から3,4週間は乾燥させます。

ギターの持ち主にその旨を伝えると、ライブで使うので、1週間では無理かと尋ねられ、完璧な修復は出来ないが、それでもよいのなら引き受けると言うと、それでもお願いしますということになりました。

下の写真がその2つのキズです。

3140.jpg

ラッカーの利点は、古いラッカーと新しいラッカーが簡単に溶け合うことです。安価なギターに使用されているポリウレタンなどには不可能なことですが、多くの高級ギターにはニトロセルロース・ラッカーが使用されており、修復が簡単に出来るようになっています。高級ギターの利点は、いろんな面において修復がしやすいということです。

割れて白くなったラッカーに新しいラッカーを垂らすと、徐々に溶け合って白い色が透明になってくるのですが、なかなか完全には透明にならないため、まずシンナーを垂らして割れたラッカーを溶かします。割れた古いラッカーも柔らかくなりますが、割れが簡単には消えないので、アートナイフなどを使って割れた部分を溶かします。

さて、シンナーで割れた部分を溶かして透明にしたら、新しいラッカー液を垂らすのですが、ここでの大きな問題は、全くシンナーで薄めていないラッカー液を垂らすと、どうしてもラッカー液の中に小さな気泡が出来てしまうことです。1滴の中に数個の気泡が出来ることもよくあります。運良く気泡が無い場合もありますが、殆ど出来るのが当たり前だと思っていただいてもいいでしょう。この気泡は肉眼では見えないのですが、拡大鏡で見るとよく分かります。垂らした状態では肉眼では見えない気泡ですが、このままで仕上げてしまうと、気泡がピンホール(針の穴)として表面に現れ、中に粉が入った白い状態で肉眼でも見えるようになります。

下の写真の垂らしたラッカー液は透明に見えますが、実は拡大鏡で覗いてみると、いくつもの気泡が中に入っています。この気泡を取り除くのは厄介で、乾燥した次の日にある程度削り、表面に現れたピンホールに新しいラッカー液を垂らします。シンナーと混ぜていないラッカー液は、塗装を厚くさせるのが簡単ですが、気泡が出来やすいという欠点があるので、私の場合、なるべく気泡が出来ないようにするため、シンナーで薄めたラッカー液を垂らすようにしています。これでも気泡は出来るのですが、シンナーで薄めていないラッカー液よりは可能性は少ないです。

3141.jpg

1週間弱の乾燥期間後、盛り上がったラッカーをスクレイプ(削る)し、ウェットサンディング、バフィングを経て、最後にポリッシュして終了です。

下の写真では完璧に平らになったように見えますが、光に照らしてみると、もう既にラッカーが凹み始めていました。ギターの持ち主には今から更にラッカーが沈んで凹みが大きくなることを伝え、1ヶ月後に持って来れば、その部分をもう一度サンディングして平らにすると伝えました。ただ気になるのは、塗装が薄い場合、サンディングで木の部分まで達してしまうことです。本当に完璧な仕上がりを求めるのであれば、この部分にラッカーをスプレーガンで吹き付け、1ヶ月程乾燥させて仕上げることですね。ギターの持ち主がそこまでやって欲しいかどうかはまだ分かりません。

3142.jpg

依頼されたのは2個のキズでしたが、別の場所にもう一つキズを見つけたので、勝手に修復してしまいました(笑)。下の写真がそのキズです。

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塗装の修復は本当に厄介な作業です。一番の問題は、やはり乾燥に時間が掛かるということですね。

ところで、ギターの持ち主からセットアップも頼まれたので、その作業も行いました。ナット、サドル、トラスロッドに手を加えましたので、その事も今度お話しますね。



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  1. 2015/07/18(土) 10:01:03|
  2. リペアー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

奥村師匠 教えて下さい♪

塗装スポット傷修理用に 2O-X brush on SUPER GLUEをスチュマクで
購入してますが、使用するに当たって注意点が有れば師匠の御教授を賜りたいと思います。
今回のみ無料キャンペーンで教えて下さい^^!)
  1. 2015/07/27(月) 07:01:10 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

Re: 奥村師匠 教えて下さい♪

アリゾナさん、返信がかなり遅れてすみません!
今回のみの無料キャンペーンでお答えしたいのですが、20-X brush on Super Glue は使ったことがありません。興味があるので今度使ってみようかと思います。とにかく塗装の修復は大変ですよね。
  1. 2015/09/17(木) 22:07:04 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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