FC2ブログ

奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

Collings DS2H 塗装修復後のセットアップ

前回の記事、「Collings DS2H の塗装のキズを修復」の続編になります。

ギターは CollingsDS2H です。ギターの持ち主からの依頼は、表面のキズを修復して欲しいということでしたが、ついでにセットアップも依頼されました。ネックをチェックしたところ、若干の順反りになっており、ネックリリーフは .021 インチ(3弦の太さより若干細い、約 0.53 ミリ)でした。私が理想とするネックリリーフの数値は、大体 .008 インチから .012 インチなので、約2倍の大きさがありますね。弦高の高さは、12フレットで1弦側が 4.5/64 インチ、6弦側が 5.8/64 インチでした。理想とする弦高は、1弦側で 4/64 インチ(約 1.6 ミリ)、6弦側で 6/64 インチ(約 2.4 ミリ)なので、このギターは1弦側が若干高く、6弦側が若干低い状態になっています。トラスロッドを調整して順反りの矯正をしますので、必然的に弦高は両側とも下がります。理想の原稿よりも低くなるのは必至で、サドルを高くすることになるでしょう。

3146.jpg

3147.jpg

写真は撮っていませんが、サドルを高くするため、サドル(牛骨製)の底に牛骨のピースを接着しました。一つのピースとして高いサドルにします。以前にもお話していますが、サドルを高くするには3つの方法を用いています。

1.新しいサドルを作る。
2.サドルの下にシム(薄い板)を敷く。
3.サドルに底に別の牛骨を接着し、一つのサドルにする。

1.が一番良い方法ですが、ここではリペアー料金のことを考慮し、3.の方法を行います。2.の方法が簡単ではありますが、シムを敷くとサドルの溝の深さが浅くなるため、サドルの前倒しを避けるため、3.の方法を選択しました。

3152.jpg

ナットの溝は全体的に深く、3,4弦が開放弦でビビっていたので、この2つの溝を高くします。どのフレットを押さえて弦を鳴らしてもビビらず、開放弦の時だけビビる場合は、ナット溝が深いということです。ナット溝を高くする方法も3つあります。

1.新しいナットを作る。
2.ナットの下にシムを敷く。
3.ナット溝を埋めて新しく溝を掘り直す。

ここでもリペアー料金を考慮して3..の方法を用います。通常、リペアーの本などにはナット溝を牛骨の粉と瞬間接着剤で埋めると書いてありますが、私はこの方法を好みません。簡単に出来る方法なのですが、巻き弦の場合、溝の底に巻き弦が食い込んで型が出来、チューニングをする時に弦がなかなかスライドせず、突然ピッチが上がってしまうという欠点があるからです。そこで私が思いついた方法ですが(今までにこの方法をやっているのを見たことがないので、勝手に自分がオリジナルだと思い込んでいる 笑)、牛骨の破片をナット溝と同じシェイプに加工し埋め込みます。ナット溝と同じ形にするのに時間が掛かりますが、この方法で新しく溝を掘り直すと、巻き弦の食い込みは起こりません。ところで、この方法は特許と取っていますので・・・と言うのは嘘です(笑)。

3148.jpg

牛骨の破片をナット溝に瞬間接着剤を使って埋め込みます。

3149.jpg

ナット溝が埋まりました。

3150.jpg

新しくナット溝を掘って出来上がりです。開放弦でのビビりは消滅しました。

3151.jpg

ネックの順反りに関してですが、弦を張った状態でのネックリリーフは .021 インチでした。弦を外してみると、ネックは真っ直ぐではなく、ネックリリーフは .011 インチありました。弦を外した状態でもネックは順反りしていた訳です。トラスロッドを調べてみると、全く締めてありませんでした。私の憶測ですが、このギターが製作された時はネックは真っ直ぐだったけど、環境の変化で反ってしまったのかもしれません。Collings は丁寧に作ってあるギターなので、私はそう確信しています。

トラスロッドを締めてネックを真っ直ぐの状態にしました。弦を張ってチェックすると、ネックリリーフは .011 インチになっていました。理想の数値です。ナットとサドルの高さの調整した後、全フレットを押さえて弦を鳴らしてみましたが、ビビリは全くありませんでした。完璧です。

通常、私はネックジョイントからフレットの高さを徐々に低くするのですが(fallaway と呼ばれています)、メーカーによっては、ネックジョイントから2,3フレット先から低くなっています。このギターの fallway はネックジョイントから3フレット先からでした。私がネックジョイントから fallaway させる理由は、弦を張った時にネックの元起きが起こった場合、ネックジョイントから2,3フレット先からの fallaway だと、その2,3フレットが盛り上がった状態となり、ビビりの原因になる時があるからです。しかし、これは必ず起きるとは限りません。このギターの場合は、そのビビりが起こらなかったので、そのままにしました。もしビビっていたら、fallaway をネックジョイントから施すつもりでした。

3153.jpg

とういことで、ギターは最高の状態になりました。ギターの持ち主にはリペアーの内容を詳しく説明し、大変喜んでもらいました。それにしてもこのギターいいなあ。欲しい(笑)!



*********************************************

ブログランキングに参加しています。よかったら下のアイコンをクリックしてランキングを覗いてみて下さい。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

************************************************



スポンサーサイト
  1. 2015/07/22(水) 22:11:59|
  2. リペアー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
<<購入後20年経って初めてのメンテナンス Martin D-18 | ホーム | Collings DS2H の塗装のキズを修復>>

コメント

私も^^

私も奥村大先生方式でテレキャスのビビりナットをリペアしようかな〜 
しかし、寄る歳波には勝てず老眼、かすみ目がひどくて失敗しそうだなあ〜^^!)
  1. 2015/07/23(木) 16:49:32 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

更新楽しみにしております!

初めまして、いつも更新楽しみにしてます!
ロンドンの空気、そしてギターのお話とても奥深く興味深いです。
いつか自分のギターも奥村さんにリペアをお願いしにロンドンにいけるように仕事頑張りたいなと、、
これからも陰ながら応援させて頂きます!頑張って下さい。
  1. 2015/07/24(金) 14:09:54 |
  2. URL |
  3. LAG #-
  4. [ 編集 ]

Re: 私も^^

アリゾナさんも是非やってみて下さい!私も老眼が酷いですよ(笑)。
  1. 2015/07/24(金) 23:26:04 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

Re: 更新楽しみにしております!

LAGさん、コメントありがとうございます!そしてこちらこそ初めまして!
場所はロンドンですが、工房内ではアメリカンな気分で作業しています(笑)。
ブログを読んで頂き、大変感謝しています。何かあったらいつでも連絡して下さい。
  1. 2015/07/24(金) 23:29:54 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

益々のご活躍を

はじめまして、50代後半のギター好きの男性です。奥村様のブログをいつも楽しく拝見させていただいております。
奥村さんのブログは、ギターの保管・管理に対してとても有益な情報が盛りたくさんですね。
この掲載されているギターの仕様(D-type body, 12-fret joint, slotted head)は、私の最も好きなギターの仕様だったので、思わずコメントを書いてしまいました。私は、長年、Jim Merrillさん作製の同仕様のものを使っています。来春にKevin Koppさんに依頼したRoy Smeckが届く予定です。2番目に好きなギターの仕様は、00-type body, 12-fret joint, slotted bodyです。これからも益々のご活躍を期待しております。
  1. 2015/09/17(木) 01:54:55 |
  2. URL |
  3. ysight #-
  4. [ 編集 ]

Re: 益々のご活躍を

ysightさん、コメントありがとうございます!そして返信が遅れたことを深くお詫び申し上げます。

ブログを読んで頂き、本当に感謝しています。ドレッドノートの12フレットジョイントは私も大好きです。個人的には所有していないのですが、現在一本製作中です(ちょっと時間が掛かっていますが)。Roy Smeckもいいですね。来春が楽しみですね。私もトラディショナル・スタイルのギターが好きで、製作するのもやはりその系統になってしまいます。

これからも頑張りますので、ブログも宜しくお願いします。
  1. 2015/09/28(月) 22:00:24 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
  1. 2016/02/08(月) 00:45:43 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://okumuraguitars.blog13.fc2.com/tb.php/514-a902b777
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

挨拶 (17)
製作家 (20)
ギターショップ (8)
製作工程 (74)
リペアー (139)
道具・工具 (25)
機械 (5)
治具・テンプレート (16)
インレイ (25)
木材 (9)
材料 (13)
ピックアップ (10)
作業場 (1)
ミュージシャン (38)
ギター情報 (11)
ギター紹介 (24)
メディア (7)
ロンドン情報 (10)
イギリス情報 (6)
書籍 (5)
紹介 (4)
出来事 (20)
ギター雑誌 (5)
ギターショー (14)
塗装 (18)
ピックガード (2)
日本滞在 (22)
未分類 (0)
デザイン (1)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。