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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

Thame(テム)という町のビンテージギターショップへ

先週の土曜日(10日)、オックスフォードの近くにある小さな町、Thame(テム)に行きました。目的はその町にあるビンテージギターショップに行くためです。ショップの名前は、Phil's Vintage Guitars です。

今月の初め、常連のお客さん(彼の4本目のギターを修理中)から連絡があり、Phil's Vintage Guitars に Gibson の L-00 が2本(両方とも1930年代製)あるのだが、どちらが良いかチェックしてくれと頼まれ、彼の運転する車で行くことになりました。私の意見を聞いて、どちらを購入するか決めたいということでした。ん~、これは責任重大です。

下の写真がそのギターショップです。元々この建物はトウモロコシの収納小屋だったらしく、歴史を感じる古い作りがビンテージギターとマッチしていました。ショップに滞在中驚いたことは、小さな町のギターショップなのに、お客さんの出入りが多いことでした。

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さて、お客さんが狙っている2本の Gibson L-00 ですが、まず1本目が下の写真です。値段は2,700ポンド(約496,000円)。お客さんが気にしているのは、ピックガードの上にある大きなキズです。下の写真ではその部分にライトが当たってしまい、あまりよく見えません。

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下にあるのはお客さんから送られてきた写真で、これを見ればそのキズがハッキリと見えます。このキズの部分には後からピックガードが貼られていたらしく、その後そのピックガードが剥がされ、ご覧のようなキズが付いてしまっています。お客さんはこのキズが修復可能かどうか私にチェックして欲しいのです。

最初にこの写真がメールで送られてきた時、とにかく実際に見てみないと修復可能かどうか分からないと返事していました。そして実際に見てみると、完璧に分からないように修復することは難しいですが、これよりはちょっとはマシに出来ると返事しました。拡大鏡を持っていなかったので、このキズは色が落ちてしまっているのか、それとも色の上に乗せてある透明ラッカーのキズなのかは、この時点では判断出来ませんでした。

もう一つのこのギターのトラブルは、12フレット手前辺りの3、4弦がかなりビビるということです。このトラブルの原因はすぐに分かりました。本来ならばアールになっていなければならないサドルの上部が、完璧なフラットの状態に削られていることでした(これは後から削られと考えられる)。指板はアール状になっているのに、サドルがフラットであれば、必然的に3、4弦はビビりやすくなります。もう一つビビりの原因として考えられるのは、ネックジョイント部分からフレットの高さが低くなっていないことでした。ネックリセットが必要なほどネックの元起きはしていませんが、ネックジョイント部分からフレットが徐々に低くなっていれば、弦のビビリはかなり解消出来ます。

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さて、下の写真がもう1本の L-00 ですが、これは1930年代製にしてはあまりキズもなく、ミントコンディションに近いビンテージ物と言って良いでしょう。値段は3,500ポンド(約644,000円)です。このギターもネックリセットが必要なほどネックの元起きはしておらず、弦のビビりも殆どありません。しかし、問題はありました。

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その問題というのが下の写真です。1弦と6弦の位置がかなり指板の端に位置しているのです。これは最初からこのように作られているようです。ブリッジピンの穴の位置が横に広がり過ぎています。これでは弦がフレットから落ちやすいです。昔のギターっていうのは結構大雑把に作られていることが多く、6個のブリッジピンの穴の位置も均一な間隔ではありませんでした。勿論これも修復可能です。

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下の写真でも分かるように、両方のギター共、過去にネックリセットが行われた痕跡はありませんでした。通常、Gibson のギターは、ネックとボディーが接合された後に塗装されるので、ネックとボディーの境目にはラッカー塗装が乗っています。

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ちょっとおまけですが、L-00 の2本に加え、ショップのオーナーが LG2 も見せてくれました(下の写真)。私としては、やはり L-00 の方が魅力的ですけどね。

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結局お客さんはどちらの L-00 にしたかというと、2,700ポンドのキズのある方です。キズがあり、おまけに弦のビビりがありますが、お金が節約出来る上、私が修復出来るのでこれに決めたそうです。勿論音色にも満足されていました。

早速購入後、2人で私の工房へ向かいました。拡大鏡でキズをチェックしてみると。白いラインは色が剥がれているのではなく、色の上に乗っている透明のラッカーが割れたキズだということが判明しました。これで修復はちょっと簡単になったかもしれません。

お客さんはこのままギターを私の工房に置いていってもよいと言われたのですが、折角買ったばかりなので、一週間ぐら弾いてから持って来ればと提案し、今度の日曜日に再び工房に持って来られることになりました。

ところで下の写真ですが、お客さんの自宅の壁に吊り下げられた1930年代の Kalamazoo by Gibson の2本ですが、両方とも私がネックリセットをしました。左が KG-11 で、右が KG-14 です。私が最初に修復したお客さんのギターは、今回購入した同じ Gibson の L-00 でした。その後他の人に売ってしまったのですが、やはり L-00 が再び欲しくなり、今回の購入となった次第です。

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さあ、来週からこの L-00 の修復が始まります。弦のビビりを直すことに問題はありませんが、塗装のキズは上手くいくように願っています。



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  1. 2015/10/15(木) 23:43:53|
  2. 出来事
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<ビンテージギターショップのリペアーにカバーとして入る | ホーム | 1930年代 Harmony Cremona IV の修理 (続編)>>

コメント

日本にもこんなお店があれば・・・

うわぉ〜!欲しいギターがいっぱいです。グレッチG欲しいな!
師匠!私のちょっと順ぞり腰の老体もリセットしてくれませんか?
外さなくてもヒーターで治ると思いますが^^
  1. 2015/10/16(金) 15:34:13 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

Re: 日本にもこんなお店があれば・・・

アリゾナさん、任せて下さい!ギターほど丁寧ではないですが…。笑
  1. 2015/11/22(日) 10:25:22 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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