FC2ブログ

奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

ビンテージギターショップのリペアーにカバーとして入る

日本人ギター・テクニシャンの SW 氏より連絡があり、あるバンドのツアーにギター・テクとして同行するので、留守の間、彼がリペアーを行っているギターショップにカバーで入ってくれないかという依頼がありました。期間は週一回の5週間ということでした。勿論オッケーの返事をし、10月13日(火)がその第一回目でした。

そのショップは Andy Baxter Bass & Guitars という所で、置いてあるギター、ベースは全てビンテージです。元々オーナーの Andy がベースプレイヤーなので、取り扱っている楽器の70%がエレキベースで、20%がエレキギター、そしてアコースティックギターは10%だそうです。顧客にはプロのミュージシャンも多く、ショップに入るにはアポが必要です。

仕事の内容は、入荷した楽器を検品し、悪いところがあれば修理するということです。全てビンテージ物なので、エレキベース、エレキギターは、パーツをばらし、ピックアップ、ポット、スイッチ等、全て取り出して写真撮影をしなければなりません(ウェブサイトに掲載するため)。そして全てが機能しているかのチェックも必要です。細かい情報をお客さんに提供しなければならないのです。

私はアコースティックギターが専門なのですが、リペアーをする場合はエレキギター、ベースもやっているので、専門分野ではありませんが、とにかくやるしかありません。

初日の朝は、とにかく遅刻したくないので、1時間半前に自宅を出発しました。1時間半もあれば十分だろうと思っていたのですが、これが甘い考えでした。バスで通勤していたのですが、ショップに行くコースの道路がずっと片側一車線なので優先バスレーンが無く、ずっと渋滞なのです。段々焦ってきました。初日なので、どうしても遅刻はしたくありません。運良く、途中に地下鉄の駅があったので、バスを降り、電車に乗ることにしました。地下鉄の駅から地上に出て、徒歩で10分以上は掛かるショップまで早歩きで向かいました。歩いている途中で気づいたのは、体の上半身が15度ほど前に傾いていることでした。遅刻をしてはいけないという思いが、体を自然に前に傾けさせていたのだと思います。100メートル走じゃあるまいし、体を前に傾けても早く着くわけではないんですけどね(笑)。

そしてショップには3分前に到着しました。セーフです。

下の写真がワークベンチです。

3302.jpg

チェック待ちのギター、ベースが並んでいます。左側の楽器から始めるのですが、私がアコースティックギター専門だということで、2本のアコースティックギターが一番手前に置かれていました。オーナーからもアコギ2本を先にやってくれと指示されました。

3303.jpg

まず1本目は Gibson の J-200 です。1970年製です。私も大好きなモデルです。さて、問題は何かあるのでしょうか?

3304.jpg

3305.jpg

3306.jpg

3307.jpg

問題は、ネックの若干の逆反り、2ヶ所ほどのフレットの高さの不揃い(弦のビビりがある)、そして弦高がやや高めということでした。トラスロッドを若干緩め、張ってある古い弦が極端に細いウルトラライトケージ(.010-.046)だったので、新しく張る弦はもうちょっと張力のあるライトゲージ(.012-.054)を張り、ちょうど良いネックリリーフのネックに調整しました。

そして高くなっている12、13フレットの部分的擦り合せをして高さを調整しました。これで弦のビビりは無くなるはずです。

下の写真では分かりにくいかもしれませんが、全てのフレットの頂上が平らになっており、綺麗なカマボコ型の形状になっていません。前回の擦り合せがその時点で終わっているようです。

3308.jpg

12、13フレットの擦り合せが終了しました。この2つのフレットだけがピカピカというのもおかしいので、他のフレットもちょっと磨き、全部同じに見えるようにしました。

3309.jpg

サドルは若干削り、ちょうど良い弦高にしました。

3310.jpg

無事に1本目が終了しました。弦のビビりも解消し、弦高もちょうど良い高さでパッチリです。このショップでの最初のギターだったので、仕事前はちょっと緊張していたのですが、上手く出来てホッとしました。

3311.jpg

この Gibson J-200は、既にショップのウェブサイトに掲載されています。よかった下のリンクから覗いてみて下さい。
http://www.andybaxterbass.com/details.php?id=955

さて、ホッとしたのも束の間、すぐに2本目に取り掛かりました。2本目のアコギは、1972年製、Gibson の Dove です。下の写真がそのギターです。

3312.jpg

3313.jpg

このギターもネック、フレット、弦高に問題があります。そして下の写真でご覧いただいても分かるように、ブリッジの左端が剥がれかかっています。

3314.jpg

サドルもちょっと変です。低音弦側の高さが高音弦側よりも低くなっています。逆にしてみたのですが、その方がバランスが良くなりました。もしかしたら、間違えて逆にはめられていたのかもしれません。

この Dove 修理を行っている最中、オーナーの Andy が誰かと電話で話す声が聞こえてきました。どうもこの Dove の話をしているようです。そしてしばらくしてオーナーが私のところに来て、Dove の修理はしなくてよいと言われました。何か訳があるそうですが、理由は後で説明するそうです。折角途中までやっていた仕事だし、どうしても終わらせたかったのですが、仕方ないですね。

3315.jpg

そしてこのショップのメインである、エレキベースの仕事が始まりました。

まず最初のベースは、Fender の Jazz Bass です。年代はちょっと忘れましたが、これもビンテージ物です。エレキ系の場合は、全てのパーツを取り出して写真撮影をしなければならないのですが、オーナーが既にパーツの写真を撮っていました。ちょっと手間が省けました。

3316.jpg

3317.jpg

弦は最初から外してあったので、弦を張ったネックがどんな状態なのか分かりませんが、弦なしのネックはかなり逆反りしています。

3318.jpg

3319.jpg

下の写真でも分かるように、ナットの1弦側が欠損しているので、弦を張ることが出来ません。来週新しいナットを製作することになりました。ということで、この Jazz Bass の修理はここまでということになりました。来週、ナット製作です。

3320.jpg

さて、Fender Jazz Bass に取り掛かっている最中、オーナーから店内の方に来るように言われました。オーナーは Fender の Precision Bass (おそらく1950年代製)を試奏中で、真ん中の2弦と3弦が12フレット辺りからハイポジション方向に向かって弦がビビると言うのです。そしてこれを今すぐに直せないかと問われました。大体の原因は分かっていたので、オッケーと返事をし、作業に取り掛かりました。下の写真がその Fender Precision Bass です。

3321.jpg

3322.jpg

3323.jpg

3324.jpg

大体のビビりの原因は分かっていたのですが、やはり思ったとおりでした。ネックがかなり順反り(前に曲がる)していたのです。それも思った以上の反りです。これだけネックが反っていると、12フレット辺りは一番低い部分になり、最終フレットはかなり高いところに位置するので、弦が振動で最終フレットに触れるのは当たり前です。

3325.jpg

トラスロッドを締めてネックリリーフを小さくし、ブリッジでの弦高調整をしました。

3326.jpg

調整により、2弦、3弦でのビビリは無くなったのですが、1弦のハイポジションでのビビりが発生しました。フレットの高さをチェックしてみると、最終フレットの手前の2つのフレットが高くなっています。2つのフレットの高さを削り、ビビりを解消させました。

ここで気をつけなければならなかったのは、指板にマスキングテープを貼らなかったことです。通常、フレットの形状を整える場合、指板にキズ付けないように、指板上にマスキングテープを貼ります。しかし、このベースの指板はメイプルで、メイプルの指板にはラッカーが塗装してあり、長年の演奏でラッカー塗装が剥がれています。剥がれた部分は色が濃くなり、それがビンテージの味を醸し出しているのですが、マスキングテープを貼ってしまうと、剥がす時に残りのラッカーを剥がしてしまいます。それで面倒臭いですが、紙を置きながら指板にキズを付けないように作業しました。

3327.jpg

ビビりが解消したので、早速店内にいるオーナーのところまで持って行きました。オーナーはすぐに試奏を始めたのですが、ビビリも無く、弾きやすくて音も良くなったことを喜んでくれました。店内にいたプロのベーシス Ernie (ショップのため、店内の楽器を録音中だった)も褒めてくれました。喜んでもらえる仕事が出来て本当に良かったです。ホッとしました。

という感じで初日が終わったのですが、初めてのところだったので、ショップに到着する前はちょっと緊張していましたが、どうにか一日の仕事を終えることが出来て良かったです。さあ、来週も頑張ります!

最後に、ショップに私のことを紹介してくださった SW 氏に大感謝です。ありがとうございました!



*********************************************

ブログランキングに参加しています。よかったら下のアイコンをクリックしてランキングを覗いてみて下さい。


ギター ブログランキングへ

にほんブログ村 音楽ブログ アコギへ
にほんブログ村

************************************************



スポンサーサイト
  1. 2015/10/18(日) 00:13:47|
  2. 出来事
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<Bourgeois Guitars のイギリスでのリペアーを担当 | ホーム | Thame(テム)という町のビンテージギターショップへ>>

コメント

凄い♪

中身の濃い内容に分厚ステーキを食べた位の満足感を味わいました。
師匠の神業お披露目するには絶好の機会ですね^^!)
ちなみに私は28歳からベジタリアンなのでお肉が食べれません♪
  1. 2015/10/19(月) 14:59:23 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

Re: 凄い♪

アリゾナさん、頑張りましたよ。やはりビンテージ物はトラブルが多いですね。
私は肉はあまり食べなくてもいい方ですが、魚なしでは生きていけません。
  1. 2015/11/22(日) 10:32:11 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://okumuraguitars.blog13.fc2.com/tb.php/525-9a2353ae
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

挨拶 (17)
製作家 (20)
ギターショップ (8)
製作工程 (74)
リペアー (139)
道具・工具 (25)
機械 (5)
治具・テンプレート (16)
インレイ (25)
木材 (9)
材料 (13)
ピックアップ (10)
作業場 (1)
ミュージシャン (38)
ギター情報 (11)
ギター紹介 (24)
メディア (7)
ロンドン情報 (10)
イギリス情報 (6)
書籍 (5)
紹介 (4)
出来事 (20)
ギター雑誌 (5)
ギターショー (14)
塗装 (18)
ピックガード (2)
日本滞在 (22)
未分類 (0)
デザイン (1)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。