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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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Bourgeois Guitars の紹介

前回の記事、「Bourgeois Guitars のイギリスでのリペアーを担当」で、今度から Bourgeois Guitars のリペアーを担当することになったお知らせをしましたが、今回は Bourgeois Guitars のギターを紹介したいと思います。

まず音についてですが、もちろん素晴らしく良い音をしています。しかし、敢えてそれに関してはいろいろと書きません。音が良いのは当たり前だからです。オール単板で、しっかりと手を込めて作ってあれば音が良いのは当たり前です。あとはそれを弾く側の好みの問題です。

下の写真は OM のモデルです。まず外観ですが、とにかく綺麗です。細部まで丁寧に作ってあり、殆どミスを見つけることが出来ません。そして光沢のある綺麗な塗装が一層美しさを際立たせています。ボディーの塗装は多くのトラディショナル・ギターに用いられたニトロ・セルロースラッカーではありません。何なのかは秘密です(笑)。

3330.jpg

3331.jpg

ピックガードの素材は、市場に出ているもので一番本物のべっ甲に近くて高価な Tor-Tis が使用されています。因みに、私も自分のギターにはこの Tor-Tis を使用しています。本当に綺麗な素材です。

3332.jpg

ヘッドはトラディショナル・スタイルのシェイプです。ヘッドの表側は光沢のある塗装になっています。ヘッドプレートの素材は側板、裏板と同じマダガスカル・ローズウッドです。

3333.jpg

ヘッドの裏側です。チューニング・マシーンは Waverly です。ヘッドの裏側、及びネック全体は艶消しの塗装になっています。光沢があるのはヘッドの表側だけです。ネックの塗料はボディーと違ってニトロ・セルロースラッカーが使用されています。

3334.jpg

ブリッジの加工が綺麗なのには関心しました。ブリッジピン穴の弦が通る溝の加工は、今まで見てきたメーカーの中で一番綺麗だと思いました。サドルは牛骨で、オクターブ調整が施されています。

3335.jpg

マダガスカル・ローズウッドの裏板です。塗装が綺麗ですね。

3336.jpg

側板です。バインディングはコアです。

3337.jpg

ボディー底のエンドピンはありません。ギターを購入した人にお任せにしてあります。普通のエンドピンを付けることも出来るし、穴を広げてピックアップ用のエンドピン・ジャックを取り付けることも出来ます。ご覧のように、穴の周りの塗装も綺麗ですね。本当に高級感があります。穴の中のエンドブロッグが見えますが、素材は高級ベニヤ板の Birch が使用されています。ベニヤ板と聞くと安物に聞こえますが、Birch のベニヤ板は高級品です。エンドブロックに Birch を使用しているメーカー、個人製作家は沢山います。Santa Cruz Guitar Company もその一つです。エンドブロックは音に関係するものではなく、材料として丈夫なものが良いということで Birch のベニヤ板が使用されているようです。

3338.jpg

ボディー内のラベルです。ラベルに書いてあるように、表板はアディロンダック・スプルース、側板と裏板にはマダガスカル・ローズウッドが使用されています。

3339.jpg

ギターの構造の中でもっとも重要なものの一つがネック角、つまり、ネックとボディーが接合されている部分の角度です。以前にもこのブログに書いていますが、指板は、ネックジョイント部分から最終フレットに向かって徐々に下がっていくべきだと思います。これは Fallaway と呼ばれています。どの部分から下げていくべきかは、メーカー、製作家によって違います。私はネックジョイント部分から下げます。

Bourgeois Guitars は Santa Cruz Guitar Company や Collings Guitars と同様、この Fallaway が施されています。下の写真でも分かるように、フレット上にストレート・エッジを置くと、最終フレットに向かって隙間が出来ているのが分かると思います。

3340.jpg

弦を張っていない時の Fallaway の数値(ストレート・エッジとフレットの隙間)は .015 インチぐらいが理想ですが(私の場合)、このギターも同じぐらいの数値でした。そして弦を張ってから測ると、隙間の数値は .006 インチになっていました。理想の数値です。弦の張力でネックが若干前に倒れるのですが、Fallaway を施さずに1フレットから最終フレットまで真っ直ぐにしてしまうと、弦の振動が最終フレット辺りに接触しやすくなり、弦のビビりの原因になります。Fallaway を施していないギターメーカーも多くあります。弦がビビらないものもありますが、私見としては、Fallway を施していた方が無難だと思います。

3341.jpg

Bourgeois Guitars のユニークな特徴の一つはネックジョイントです。ネックジョイントはボルト・オンです。2本のボルトでネックとボディーが接合されています。昔から行われていたダブテイル・ジョイントで、ネックとボディーを接着剤で接合する方法ではないのです。ボルト・オンのネックジョイントは他のメーカー、製作家にも多く見られます。しかし、指板までボルトで接合されているメーカーはあまり見かけません。個人製作家には何人かいらっしゃるようです。

写真でも分かるように、ネックは2本のボルト、指板は4本のボルトで接合されています。もしネックリセット(ネックをボディーから外し、ネック角調整をする)が必要な場合、ボルトを緩めるだけで簡単にネックを取り外すことが出来ます。リペアーマンには助かる話です。ダブテイル・ジョイントの場合は大変ですからね。

3342.jpg

ボディー内の様子です。

3343.jpg

3344.jpg

最後になりますが、Bourgeois Guitars にはもう一つ大きな特徴があります。それはヘッド角です。通常、多くのギターのヘッド角は約14°です。しかし、Bourgeois Guitars の場合は、ヘッド角がもっと大きいのです。これは見た目でも分かります。ヘッドが後ろに倒れ過ぎだなとはずっと思っていました。実際に測ってみると、その角度は17°ありました。3°の差は大きいですね。ヘッド角を増すことにより、更に良い音を追求しているのでしょう。ただ見た目は14°の方が私は好きです。

3345.jpg

それでは、Bourgeois Guitars の仕事が入った時は頑張りたいと思います。



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  1. 2015/11/01(日) 02:34:29|
  2. ギター紹介
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
<<Epiphone PR350Sのリペアーのお話 その1 | ホーム | Bourgeois Guitars のイギリスでのリペアーを担当>>

コメント

そうだったんですね!

アリゾナ時代に初めて「ボジョ・ギター」を知りました。なるほど、ブルジョアと
読めますね。ネック・ジョイントがボルト・グルーとは全く知りませんでした。
フェンダーアコギのそれとは精度が違い過ぎてビックリです。
  1. 2015/11/01(日) 17:58:48 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

指板もボルト締めとは軽くカルチャーショックです(笑)
指板ボルトの土台に使われているのはバーチか何かなんでしょうかね。
うーんそれにしてもすごく色々研究されていそうなギターですね。
勉強になります。

  1. 2015/11/04(水) 13:00:50 |
  2. URL |
  3. travispitz #-
  4. [ 編集 ]

師匠♪ 予想です

寒い地域だとラッカーはひび割れ起きやすいし、ポリだと接着剤と反応して白く濁るし、
ううむ・・・薄手ポリウレタン特殊配合門外不出塗装と予想。 これも外れかな^^
  1. 2015/11/10(火) 05:53:14 |
  2. URL |
  3. アリゾナ #kpjYxc8I
  4. [ 編集 ]

Re: そうだったんですね!

アリゾナさん、「ブジョア」が一番本当の発音に近いのですが、日本のギター業界では「ボジョア」と呼ばれているみたいですね。
日本語読みではよくあることですが、「ブルジョア」は一番似ていないですね。
ボルトオン指板は本当に面白いと思います。
  1. 2015/11/22(日) 10:47:24 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

travispitz さん、コメントの返信が遅れて申し訳ないです。

指板のボルトオンは凄いですね。簡単にネックリセットが出来ます。
素材はよくチェックしていませんが、バーチかもしれませんね。今度チェックします。
  1. 2015/11/22(日) 10:53:17 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

Re: 師匠♪ 予想です

アリゾナさん、近いかも。でも企業秘密です(笑)。
  1. 2015/11/22(日) 10:56:36 |
  2. URL |
  3. 奥村健治 #-
  4. [ 編集 ]

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奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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