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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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日本でチェックした友人の Martin 000-28 EC

去年のクリスマスと今年の正月は日本で過ごしたのですが、故郷の佐世保で飲食店を経営する友人のギターをチェックすることになりました。ギターは Martin 000-28 EC です。かなり前に別の友人を介してこのギターの写真が私宛に送られ、どうしたらよいのか相談を受けていました。それで12月31日の大晦日の午後、彼のお店に行きました。

3374.jpg

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相談の内容は、ネックヒールとボディーの間に隙間があるのだが、これはどういうトラブルかということでした。写真を見て大体どういうトラブルかというのは想像出来ました。おそらくネックはネックジョイント部分から前倒し状態になっており、弦高も高くなっていると思いました。同じ写真ではありませんが、今回撮ったのが下の写真です。

3377.jpg

実際にギターを見てみると、やはり思ったとおりの症状でした。写真でも分かるように、ネックヒールとボディーに隙間があります。弦の張力は約70キロあり、その張力に負けないように、ネックとボディーの接合はかなり密接に接着しなけらばならないのですが、これだけの隙間があるということは、あまり密接には接合されていなかったようです。こういう症状の場合は、ネックジョイント部分に蒸気を注入させ、接着剤を柔軟してからネックを取り外します。このギターの場合は、蒸気を注入した後、僅か数秒で外れると思います。Martin は Gibson に比べると簡単にネックが外れるのですが、このギターのようにネックヒールとボディーの間に隙間があれば、通常よりもっと簡単に外れます。

今でも大人気の老舗メーカー Martin ですが、ネックジョイントのトラブルが多いのも事実です。有名メーカーということに騙されず、購入時にはネック角(ネックジョイント部分)をチェックすることは大事だと思います。

さて、ネックヒール下の隙間を見せてもらった後は、ネックの状態のチェックです。ヘッド方向からネックを覗き込んでみると、下の写真の状態でした。かなり酷い状態です。ナット部分からネックジョイントまでは逆反りしており、その先は指板が上方向に伸びています。これはよく目にする最悪の状態で、ネックが前方に倒れているため弦高が高くなり、少しでも弦高を低くするため、トラスロッドを目一杯時計回りに締め付けているからです。何回かこのブログで書いているのですが、トラスロッドが作用するのはナット部分からネックジョイントまでであり、ネックが前倒し(前起き、元起きともいう?)になって弦高が高くなったトラブルには関係ありません。トラスロッドの作用はあくまでもネックの反りに対しての効力であり、ネックが前倒れになった症状に効果はありません。この症状の場合は、ネックをボディーから取り外し、ネック角を矯正するネックリセットが必要となります。このブログに何回か書いていますが、「弦高が高い イコール トラスロッドを回す」とは限らないのです。トラスロッドを回す時は、なぜそれが必要なのかということを十分に理解していないといけません。

3378.jpg

友人の話では、某リペアーショップに修理を依頼したそうですが、殆ど何も変わらない状態で戻ってきたそうです。友人はトラスロッドを回したことがないそうで、そのリペアーショップがトラスロッドを思いっきり締め付けて逆反りにしてしまったようです。はっきり言ってとても杜撰なリペアーです。というか、これはリペアーとは呼べないでしょう。イギリスでも同様に酷いリペアーをするリペアーショップはあります。

ギター全体をチェックして何をしなければならないか分かりました。すぐにでもリペアーをしたい気持ちに駆られたのですが、自分の工房は日本にはありません。友人は私に修理して欲しいと言い、ロンドンまで持って帰ってくれないかと言いました。しかし、持って帰ると超過手荷物になるし、それにいつ日本に戻って来るかも分かりません。それで友人はロンドンまで送ってもいいとも言ったのですが、送るとなるとかなり高い送料となります。それで思い付いたのが、日本で信頼出来る人に依頼することです。すぐに思い付いた人が、長崎市郊外に工房を構えるアコースティックギター製作家の高崎和義(タカサキカズヨシ)氏です。高崎氏は愛媛県にあるシーガルギターの塩崎氏に師事した方で、現在は長崎市郊外に「ギター工房 Fellow(フェロー)」という工房を構え、アコースティックギターを製作されています。製作されているギターはトラディショナル・スタイルのギターだし、ネックリセットなどのリペアーも行われているので、高崎氏なら信頼出来ると思いました。友人には高崎氏のことを伝え、高崎氏には私から連絡をし、快くリペアーを引き受けて頂きました。ただ高崎氏も沢山の仕事を抱えて多忙なので、実際にネックリセットを行うのはちょっと先になりそうです。

ギターを診断することも出来たし、信頼して修理して頂く方も見つかったし、これで一件落着!

それにしても M 社のギターにはネック角のトラブルが多過ぎる…とちょっと独り言。



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  1. 2016/03/16(水) 00:37:17|
  2. リペアー
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

僕のFG-180、来週受け取ることになりそうです。再会が楽しみ。Fishman製ののPickupを付ける予定です。
  1. 2016/03/16(水) 06:57:00 |
  2. URL |
  3. 萬 #-
  4. [ 編集 ]

実は・・・

デイル・アンガーがCustomのMartinを一部製作請負(主にアーチ)しています。

でデイル・アンガーのネックはダブにはなっていません。
初めから隙間があります。

クライン、パーカー等ダブにしない製作家が結構出てきています。

classicで有名なSmallmanはネックは上下するタイプ。

ダブはリペアが非常に難しいので、ボルトオンが増えて来ているのも事実ですね。

先日当方のリペアにスペイン式ネックのリペアが持ち込まれましたが、リペアは困難を極めていました。

奥村さんのような腕の立つリペアが減って来ている現状は、やはり先行き不安です。
  1. 2016/03/18(金) 10:11:37 |
  2. URL |
  3. 輝 #YMuN7fn.
  4. [ 編集 ]

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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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