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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

Lowden の塗装凹み修復 #2 最終回

前回の記事、「Lowden の塗装凹み修復 #1」の続きです。この連載は2回で、今回が最終回です。

塗装修復するギターは Lowden の40周年記念モデル、F-50C/LH です。お客さんがギターを倒してしまい、トップの表面と角に深いキズが付いてしまいました。Lowden Guitars に使用してある塗装はポリウレタン系であるため、シンナーには溶けません。そこでアートナイフを使って凹んだ部分の塗装を丁寧に取り除き、ハンダゴテと湿らせたキッチンタオルを凹んだ部分に当てて凹みを少し持ち上げましたが、それでも凹みはあります。

今回の修復は Lowden Guitars のオーナー、George Lowden 氏とも連絡を取り合って行いました。Lowden の塗装はポリウレタン系であるため、ニトロセルロース・ラッカーのように古い塗料と新しい塗料が溶け合いません。そこでスーパーグルー(瞬間接着剤)を重ね塗りすることになりました。表面はスムーズに出来ますが、光に当てると違う物質であることは認識出来ます。それと修復部分の色はどうしても濃くなってしまいます。お客さんにはパーフェクトにはならないと伝えてあり、本人もそれを了承しています。

下の写真は重ね塗りして乾燥したスーパーグルーをスクレイプ(削り)しているところです。重ね塗りした時の写真を撮るのを忘れてしまいました。

3495.jpg

重ね塗りして盛り上がったスーパーグルーをスクレイプし(削り)、平らになったらウェットサンディングを行います。

サテンフィニッシュ(艶消し)には2種類あり、ウェットサンディングで最終仕上げを終了するか、細かい粒子の塗料をスプレーで吹き付け、それを最終仕上げとして(サンディングなし)終了するかです。Martin や Santa Cruz のネックは後者で行われていますが、Lowden の場合は、ギター全体をウェットサンディンだけで仕上げを終了するサテンフィニッシュです。表面をよく見てみると、サンディングマークが木目と同じ方向に沿って見られます。ある番号のサンディングペーパーから始め、ある番号で終了します。サンディングペーパーの番号は企業秘密です(笑)。

ある番号のサンディングペーパーで最終仕上げをするのですが、これが難しい。新しいものの全体をサンディングするのならもっと簡単かもしれませんが、修復の場合は、周りの塗装と上手くブレンドさせなければならず、艶消しの場合はこれが難しいのです。真新しいサンディングペーパー、少し使ったもの、かなり使ったものでは塗装の表面の艶消しの見え方が違うのです。真新しいサンディングペーパーならば艶消しが強いし、かなり使ったものだと光沢が強くなってしまいます。いろいろと試行錯誤しながら、どうにか周りの古い塗装とブレンドさせることが出来ました。

下の写真をご覧下さい。表面は滑らかになり、艶消しの度合いも周りに溶け込みました。ただどうしても修復部分は色が濃くなってしまいます。これは見る角度によっても変わります。

3496.jpg

3497.jpg

3498.jpg

ピックガード横の縦に凹んだキズですが、下の写真は盛り上がって乾燥したスーパーグルーをスクレイプしているところです。すくレイプ前の盛り上がった状態の写真を撮り忘れました。

3499.jpg

下の写真でも分かるように、ピックガード横のキズはあまり目立たなくなりました。

3500.jpg

カッタウェイのバインディングの角に入った2つの凹みですが、まずハンダゴテと湿ったキッチンペーパーを使って凹んだ部分を浮き上がらせるようにしましたが、やはりある程度の限界があり、足りない分は新しい木片を埋め込むことにしました。かなり小さな木片になるのでかなり苦労しました。

3491.jpg

3501.jpg

こんな具合に埋め込みが完了しました。この上にスーパーグルーを重ね塗りします。その写真も撮り忘れました。

3502.jpg

下の写真のように仕上がりました。ちょっと色が違いますが、キズがあるよりはマシでしょう。

3503.jpg

塗装修復後、ギター全体のセットアップも行いました。高音側の弦高が高かったので、サドルの底を削って調整しました。Lowden のサドルはスプリットサドル(2ピース)になっているので、1ピースに比べると作業が面倒臭いです。線を引くのにも苦労します。

3504.jpg

ちょうど良い弦高になりました。

3505.jpg

ギターのサイドですが、綺麗な African Blackwood ですね。

3506.jpg

修復前は白いキズが目立っていましたが、修復後はご覧のように目立たなくなりました。ニトロセルロース・ラッカー塗装の場合はもっと目立たなくなるのですが、ポリウレタンの場合は難しいですね。

3507.jpg

お客さんには、キズは目立たなくなるけど、パーフェクトにはならないと何度も伝えていました。実際に修復後のギターを見てみると、予想していた以上に出来栄えが良かったので、「君は天才だ!」とお褒めの言葉を頂戴しました。嬉しかったです。

お客さんはかなり気に入ってくれたので、私も一安心しました。

サテンフィニッシュの修復は難しいですね。スプレーで吹き付けて仕上げしているサテンフィニッシュはもっと厄介かもしれません。みなさん、ギターにはキズを付けないようにしましょうね。




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  1. 2016/04/22(金) 10:36:14|
  2. 塗装
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

Say it again♪

師匠は天才だ^^!
熊本大地震直撃ですよ〜!!@@
30数本のギターやウクレレ・・・なんとか無事ですが、まだまだ余震が凄くて
避難所生活です。
  1. 2016/04/23(土) 07:00:46 |
  2. URL |
  3. サルタンスイング #DL0dExLA
  4. [ 編集 ]

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奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
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