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奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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Simply Red のギタリスト、鈴木賢司氏の Gibson Southern Jumbo のリペアー その1

世界的に活躍している英国のバンド「Simply Red」のギタリスト、鈴木賢司氏の1964年製 Gibson Southern Jumbo をリペアーでお預かりしました。Simply Red と言えば Mick Hucknall 率いる1980年代から活躍しているバンドで、数々の大ヒットを生み出しています。そのバンドのギタリストである鈴木氏のギターを修理出来るのは大変光栄なことだと思っています。

鈴木賢司氏のことを初めて知ったのは1980年代初頭に見たギター専門雑誌「ギターマガジン」でした。私が20代前半の時です。当時、鈴木氏は天才高校生ギタリストとしてデビューし、学生服を着てギターを持つ姿が印象的でした。そして1988年、元 Cream の Jack Bruce の勧めでロンドンに移住されました。

それから私もロンドンに移住することになるのですが、10数年前、テレビの音楽番組「Top Of The Pops」で Simply Red が演奏しているのを目にしました。バンドのギターとドラムが東洋人で、その時はその二人が誰なのか分かりませんでした。そして後日、その二人が日本人で、ギターが鈴木賢司氏、ドラムが屋敷豪太氏ということが分かったのです。鈴木氏はロングヘアーになっていたし、久しぶりに見るので彼だとは気づかなかったのです。屋敷氏はその後バンドを抜けて日本へ本帰国されたのですが、鈴木氏は現在でも Simply Red に在籍されています。








鈴木氏が私のことを数年前から知っているということは耳にしていたのですが、約1年前、ある方を介して鈴木氏から直接アコースティックギター修理の依頼が来ました。鈴木氏もツアーなどで多忙のため、なかなかギターを受け取ることが出来なかったのですが、約3カ月前、やっとギターを受け取ることが出来ました。今回のツアーでは使わないのでゆっくり作業をしてよいということでしたが、次回のツアーでは使いたいということでした。

それでは鈴木氏のアコースティックギター修理についてお話しします。

ギターは1964年製の Gibson Sothern Jumbo です。修理内容はネック、フレット等のチェック、そしてサウンドホール周辺の一部が割れて外れているので、それの再接着です。

52年前に作られたギターなので外観は渋いビンテージルックになっています。塗装はビンテージ物によく見られるニトロセルロースラッカー特有の細かいクラックが入っており、渋い風貌を醸し出しています。

トップはスプルースで、3トーンのサンバーストになっています。

3535.jpg

3536.jpg

バックとサイドはマホガニーで、ステインで色が付けてあります。

3537.jpg

サドルの幅は広く、高さが調整出来るアジャスタブルになっています。

3538.jpg

ご覧のようにサウンドホール上部の一部分が欠けています。知らない間に割れて外れていたそうです。

3539.jpg

3540.jpg

割れて外れたピースを再接着します。

3541.jpg

裏からスプルースのクリートを2個、繋ぎ目の部分に補強材として接着します。

3542.jpg

破損した部分の接着が終了しました。2箇所の繋ぎ目は色が剥げて白いラインがあるので、そこに色を塗り、ラッカー液を垂らします。

3543.jpg

色を塗ってラッカー液を垂らしました。このまま最低3週間は乾燥させます。ラッカーは完全に乾燥するまでは収縮するので、完全乾燥を待ち、それからスクレイプ(削り)、サンディング、バフ掛け、ポリッシュを行います。

3544.jpg

以前施されたクラックの修復箇所があり、段差があって綺麗に仕上げられていなかったので、ここもついでに修復しようかなと思いましたが、裏からクリート(補強材)も接着されてビクともしなかったので、そのままにしておくことにしました。

3545.jpg

さて、それではネックのチェックです。

ネックは若干順反りしており、7フレットから12フレット辺りで弦がビビる箇所が多々ありました。ストレートエッジを指板の上に乗せてネックの真っ直ぐさをチェックすると、ネックは1フレットと最終フレットを頂点に弧を描いていました。ネックがこういう状態の場合、反りが大きければ大きいほど弦がビビる可能性は大きくなります。7フレットから12フレット辺りは谷の一番底になるので、そこら辺を弾いた場合、弦の振動が頂点である最終フレット辺りに触れて弦がビビるのです。私が考える理想のネックは、弦を張った場合、ネットからネックジョイント辺りまでが僅かに順反りし、ネックジョイント辺りから最終フレットに掛けて若干フレットの高さが徐々に低くなる状態です。この状態だと弦がビビる可能性はかなり低くなります。

弦を外してみました。ネックは若干順反りしています。トラスロッドをチェックしてみると、かなりきつく締めてあります。かなりきつく締めてあっても若干順反りしている状態です。トラスロッドを緩めると、順反りはかなり大きくなりました。このギターはフレットの擦り合せも必要なのですが、ネックが真っ直ぐでなければフレットの擦り合せは出来ません。トラスロッドの機能を最大限に活かすためには、トラスロッドをあまり締めていない状態でネックが真っ直ぐでなければなりません。そこでまず、ネックを熱加工で真っ直ぐにすることにしました。

3546.jpg

ネックの熱加工は、一発で望み通りの真っ直ぐさにすることが難しく、時には逆反りになってしまうこともあります。さて、一発で望み通りの真っ直ぐさになるでしょうか。ではこの話はまだ続きますので、次回をお楽しみに。

続く。



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  1. 2016/10/14(金) 07:40:27|
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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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