奥村健治アコースティックギター製作 IN ロンドン

ロンドン在住の個人製作家によるギター製作ブログ

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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その8

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その7」の続きです。

前回は切り落とした指板の修復を行いました。次はいよいよ破損したネックヒールの修復を行います。

3704.jpg

亀裂から綺麗な形で割れたしまったので、まずは接着面に隙間がないようにクランプで締めて接着します。(下の写真)

3705.jpg

3706.jpg

接着が終了しました。隙間はありません。この亀裂の部分には後でラッカー液を塗ります。(下の写真)

3707.jpg

3708.jpg

ネックヒールの底面に2つの穴を開けます。穴はかなり深く開け、ここに後で2本のダボを繋ぎ、そして補強として入れます。(下の写真)

3709.jpg

ということで、今回はここまでです。次回は削り取ってしまったダブテイルの再生を行います。では次回をお楽しみに!

続く。



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  1. 2017/09/15(金) 13:46:50|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その7

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その6」の続きです。

前回は破損したネックヒールをダブテイルジョイントから取り外すところまででしたが、ネックヒールの修復は後回しにして、今回は切り落とした指板の修復を先に行います。

どうやってもダブテイルジョイントの隙間が見つからず、苦渋の決断で15フレットから指板を切り落として隙間を見つけることにしました。14フレットのネックジョイントから切り落としてしまうと、切り落とした指板を繋ぎ合わせることが困難になるため、繋ぎ合わせが可能な15フレットから切り落としました。

それでは指板修復の写真を14枚掲載しましたので、それぞれの写真の下にキャプションとして工程の説明をしたいと思います。

3690.jpg
まず接着面が平らな MDF のピースを2個、指板の底面に接着します。

3691.jpg
MDF のピースの接着が終了後(乾燥後)、切り落とした指板をその MDF の上に乗せて接着します。まだ完全ではありませんが、切り落とした指板が定位置に固定されました。これで底面は平らです。

3692.jpg
指板の底面が固定された後は、今度は指板の上から2個の MDF のピースを接着します。MDF のピースで指板をサンドイッチにしました。

3693.jpg
2個の MDF のピースで指板を挟み、これで指板は固定されました。しかしこれは仮の固定です。繋ぎ目の隙間はちょうど切り落としに使ったノコギリの刃の厚さです。この隙間も後で修復します。

3694.jpg
指板の繋ぎ目には表側と裏側から MDF のピースを接着していましたが、裏側の MDF を取り除きます。表側から固定されているので大丈夫です。裏側の MDF をノミ等を使って削り取って表面を平らにし、繋ぎ目の両端にローズウッドのピースを繋ぎ、そして補強として埋め込みます。

3695.jpg
ここは機械が使えないので、ノミを使ってローズウッドのピースがちょうど嵌る溝を彫ります。溝の深さは指板の厚さの半分くらいです。

3696.jpg
指板の両端の溝が彫れました。ここに繋ぎ、そして補強としてローズウッドのピースを2個嵌め込みます。

3697.jpg
ローズウッドのピースを接着中です。

3698.jpg
ローズウッドのピースの接着が終わったら、上にはみ出ていた部分を削って全体の表面を平らにします。

3699.jpg
両端の補強だけでは十分ではないので、真ん中の部分にもローズウッドのピースを嵌め込みます。

3700.jpg
補強のピースが両方の指板にまたがるように、ダブテイルを少し削って指板がもっと露出するようにします。

3701.jpg
埋め込みが終了しました。

3702.jpg
次は指板上部の MDF を削り取ります。

3703.jpg
指板上部の MDF を取り除きました。これで指板の繋ぎ、補強は終了です。しかし、これで強く繋がっているわけではありません。最終的に、指板がトップに接着され、フレットが嵌め込まれてから一つの固定されたピースになると考えています。

それでは指板が繋がりましたので、次回からは破損したネックヒールの修復に取り掛かります。では次回をお楽しみに!

続く。



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  1. 2017/09/12(火) 12:11:31|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その6

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その5」の続きです。

前回のネックの取り外しでは、やはり懸念していたとおり、ネックヒールに入っていた亀裂が完全に割れ、ネックヒールの後ろの部分が外れないままネックが外れました。残ってしまったネックヒールを外すのは至難の業です。Gibson はネックヒールの底の部分もサイドに接着されており、残ったネックヒールを左右に動かすことも出来ないので、たとえ熱い蒸気を接着部分に注入したとしても、後ろから押すだけでは外れそうにありません。

3685.jpg

ここでちょっと余談になりますが、この前もお話ししたとおり、7月下旬にパブでバッグを盗まれてしまいました。バッグの中には iPad も入っていて、その中には数百枚のギターの写真が入っていました。ちょうどこれから取り掛かるダブテイルに残ってしまったネックヒールの取り出し作業の写真も含まれていました。ということなので、どうやって取り出したかは文章で説明しますね。

ネックを取り外すには、ネックとボディーが接合されているダブテイルの下の隙間に熱い蒸気を注入し、接着面の接着剤を柔軟にします。そして接着剤がある程度柔らかくなった時点でネックを左右に動かし、同時にネック取り外し専用の治具を使って後ろからネックを前方に押し出します。ネックを後ろから押し出すだけでは不十分で、ネックを左右に動かすのは必須です。特に Gibson のギターは頑固で、Martin のギターのように簡単には外れません。

ネックヒールの底とボディーの接着面にナイフを入れて分離し、蒸気を注入して後ろから押し出すことを試みましたがビクともしません。かなり高温の蒸気をずっと注入し続けると、ギター自体に損傷を与えてしまうので、これ以上は無理だと判断し諦めました。

さて、どうしましょう。いろいろと考えた末、次のことを行うことにしました。それはダブテイルの凸の部分を 3分の2 を削り取ってしまうことです。全部削り取ってしまえば簡単に外れるのでしょうが、3分の1 残すことによって、ネックヒールが外れた後、削り取った部分を再生しやすくなります。残った部分が多いほど形状を整えやすいのです。もちろん、補強もします。接着面が 3分の1 に減れば外れやすいと判断しました。

ノミを使って 3分の2 を削り取った後、再度蒸気を注入しながら治具を使って後ろから押してみました。すると…

「外れた!!」

外れました!飛び上がるくらい嬉しかったです。もう後に戻ることは出来なかったので、本当にホッとしました。

3686.jpg

3687.jpg

3688.jpg

ご覧のように(下の写真)、ダブテイルの凸の部分は少し残してあります。ここに新しいピースを接着して再生させます。

3689.jpg


指板を切り落とし、ネックヒールも割れ、そしてダブテイルも 3分の2 削り取ってしまった最悪の状態になりましたが、これから修復に取り掛かります。それでは次回をお楽しみに。

続く。



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  1. 2017/09/09(土) 01:05:34|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その5

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その4」の続きです。

さて、トップ上の指板を分離させたので(実際は今回か切り落としになってしまった)、次はいよいよネックの取り外しです。Gibson のギターは Martin に比べるとかなりネックが外しにくいです。その一因として、Gibson はネックヒールの底がボディーのサイドに接着されていることが考えられます。Martin の場合は、ネックヒールの底に凹みがあり、サイドとは接着されていません。個人的にも、ダブテイル部分がしっかりと接着してあれば、ネックヒールの底とサイドは接着する必要がないと思います。

3681.jpg

「その1」でも書いたように、ネックヒールに亀裂があります。これがとても心配でした。ネックを取り外す場合、ネックを前後に揺らすことはありません。もしそうすれば、亀裂を大きくしてしまうのは確実です。ネックを取り外しでは、ネックを左右に揺らします。亀裂がそんなに深くなければ、うまく全体が外れると期待していました。しかし、期待は完全に打ち破られてしまいました。亀裂はかなり深かったようです。ネックを左右に揺らし始めると、ネック前方だけが動き、亀裂を境に後方は全く動かないのです。とにかくネックは外さないといけません。下の写真のように、ネック前方だけが外れました。

3682.jpg

3683.jpg

ネックヒールの後方部分だけがボディーに残ってしまいました。これを取り外すのは至難の技です。蒸気を隙間に注入しても、左右に揺らすことが出来ません。ネック取り外しの場合、ネックを左右に動かしながら後ろからもネックを前方に押すのですが、ネックヒールの下、そしてダブテイルがしっかりと接着してあるので、後ろから押すだけでは外れません。

3684.jpg

困ってしまいました。どうにかして外さないといけません。いろいろと取り外す方法を考えました。

ということで、今回はここまでです。次回をお楽しみに!

続く。



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  1. 2017/09/02(土) 12:58:28|
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1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その4

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前回の記事「1953年製 Gibson J-50 の大掛かりなリペアー その3」の続きです。

前回はボディー内のブリッジプレートを剥がすところまでやりましたが、この作業は一旦中断し、これからネックの取り外しに取り掛かります。まずネックを取り外す前に、ネックジョイントからトップ上に接着してある指板の接着面にナイフを入れ、指板とトップが分離した状態にします。

3669.jpg

指板上にアイロンを置き、トップとの接着面の接着剤を柔軟にさせます。

3670.jpg

トップの塗装を保護しながら、指板の下にナイフを入れてトップと分離させます。

3671.jpg

Gibson のギターは Martin と違い、ネックとボディーの接着後に塗装が施されているので、ネックとボディーのジョイント部分にナイフで切り込みを入れます。塗装が欠けるのを最小限に抑えます。

3672.jpg

3673.jpg

3674.jpg

指板をトップから分離させた後、15フレットを抜きます。これはネック側のダブテイルの凸とボディー側ネックブロックの凹のジョイント部分下方には若干の隙間があり、これがちょうど15フレットの下にあるからです(12フレットジョイントのギターならば13フレット)。ここに穴を開け、熱い蒸気を注入して接着剤を柔軟にさせます。しかし、その隙間が若干ずれているギターもあります。これが厄介なんですよね。さて、これはどうでしょう。

3675.jpg

15フレットのフレットスロットに2つの穴を開けます。1つは熱い蒸気を注入させるため、もう1つはその蒸気を外に逃がすためです。

3676.jpg

ここで心配していた問題が発生しました。通常、15フレットスロットに穴を開けた場合、ドリルビットが指板を突き抜けた後、そのビットが隙間に入った感覚があります。今回はその感覚が全くないのです。ドリルビットはネックブロックのソリッドな部分に穴を開けただけです。これでは蒸気を接着面に注入することが出来ません。時々こんな風に、ダブテイルの隙間が15フレットからずれていることがあります。そんな場合は、ドリルビットをネック方向かボディー方向に斜めに傾けて穴を開け直すと隙間に到達することもあります。ただドリルビットが隙間に到達した感覚がよく分からなかったりするので(斜めだと分かりにくい)、そんな時は、ギターの弦を穴に差し込んで、弦が隙間の一番そこまで到達するか確認します。

3677.jpg

ドリルビットの角度をいろいろと変えて試みましたが、やはり弦は隙間のそこまで到達しません。3つ目の穴を開けて角度を変えながらやっているとドリルビットが折れてしまいました。

3678.jpg

何度やってもだめです。

3679.jpg

何度やっても穴が隙間に到達せず、しばらく休止してどうするか考えることにしました。そして苦渋の決断をすることにしました。それは指板を切り落とすことです。お客さんにも連絡して了解を得ました。切り落とすのは15フレットからです。ネックジョイントの14フレットから切り落としてしまうと、切り落とした指板の再接着が難しくなってしまいます。15フレットからだと、裏から補強材を入れて元に戻せます。

ということで、15フレットから指板を切り落としました。下の写真では隙間がすぐ下にあるように見えますが、実際は、隙間は2ミリ程上の方にずれていました。ドリルビットの穴も隙間には到達していませんでした。

このように、隙間が15フレットからずれている時に隙間を見つけ出す方法を後から発見しました。もっと早く発見していれば、指板を切り落とさなくてよかったんですけどね。これは企業秘密で紹介出来ません(笑)。

3680.jpg

ここでちょっと余談ですが、先月、パブでバッグを盗まれてしまい、ギターの写真がいっぱい入った iPad もバッグの中に入っていました。指板を切り落とす写真も iPad の中に入っており、残念ですが、切り落とした後の写真も上の写真だけです。本当はもっと詳しく写真で説明出来たんですけどね。ちょうどこの辺りの工程の写真を紛失しています。

それでは、次回はネックの取り外しです。次回をお楽しみに!

続く。



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  1. 2017/08/29(火) 15:16:02|
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プロフィール

奥村健治

Author:奥村健治
アメリカでギター製作を学び、現在イギリス・ロンドンにてアコースティックギター製作に励んでおります。長崎県佐世保市出身

Santa Cruz Guitar Company, Bourgeois Guitars, Lowden Guitars の英国でのリペアーマンもやっています。

www.okumuraguitars.com
www.okumuraguitars.tumblr.com
https://twitter.com/okumuraguitars
https://instagram.com/okumuraguitars/

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